第五十八話 二人の王妃様の明暗
私は、すぐに魔霧ノ森に飛ぶように異空間を転移させた。
すると、馬車と衛兵の馬がその森の前に停まった。
メープル第二王妃様かと思い、異空間を近づけようとした。
すると、オルタンシア第四王妃が中から降りてきた。
『すぐに、第二王妃を連れ戻せ!』
第四王妃は、第二王妃様を捕えるべく衛兵たちに発破をかけている。
『し、しかし、第四王妃様! あの方は、魔霧ノ森に入って行きましたが!?』
魔霧ノ森に怖気づいているのは、衛兵の方だった。
しかし、第四王妃は怖気づいていない。
第二王妃が魔霧ノ森に入って行ったと聞いて、負けん気が出たようだ。
『第二王妃が行けるというのだから、私とて行ける! 行くぞ!』
『は、はい!』
驚いたことに、第四王妃が衛兵を連れて、魔霧ノ森に入って行った。
すぐにオルタンシア第四王妃と衛兵の姿は見えなくなった。
「早く、メープル第二王妃様を助けよう!」
どうやって助けるのか。
それは、妖力草を取りに行った時と同じだ。
「メープル第二王妃様のもとに飛べ!」
そう念じると、異空間は魔霧ノ森の中に転移した。
私はすぐさま、手だけ半トリップさせた。
辺りは霧がかっていて、一寸先も見えない。
すぐ横に人の気配がして、私は半トリップさせた手を彷徨わせた。
すると、私は腕をつかむことに成功した。
『な、何をするのですか!』
この声は、メープル第二王妃様だ。
どうやら正体不明の手に捕まれて、パニックになっているらしい。
『ご安心ください、メープル様』
「私と偽王子君はアレクシス様の従者の妖精です!」
『アレクシスの妖精……?』
『はい、助けに参りました!』
「異空間に引き寄せますので、異空間をくぐって入ってきてください!」
『は、はい!』
私は手を引っ張って、異空間に引き寄せた。巣穴をくぐって出てきた子ウサギのように、メープル第二王妃が姉の部屋に姿を現した。
第二王妃様は、薄ピンクのドレス姿だった。そして、素足で、擦り切れてボロボロだった。




