第五十三話 敵か味方か2
翌日、アレクシス王子は馬車に乗って夢見国に渡った。パトリック執事もアレクシス王子のお世話の為に同行したようだ。
無事にご公務を果たされることを、私は祈っている。王子様は頭が切れるので、外交も上手いのではないかと、私は推測している。
SPが大勢付いているので、アレクシス王子の安全は保障されているようなものだ。
むしろ、王子様が宝玉国の宝玉城にいた方が危険だというのは皮肉な話だ。
さあ、私は宝玉国の方を調査しなくてはいけないな。
私は姉の部屋から異空間に向き直って、偽王子君に話しかけた。
「これからどうする、偽王子君?」
異空間の偽王子君は、落ち着いていた。
『蜜柑ちゃん、やっぱり国王様のお部屋を見張っていた方が良いんじゃないかな?』
ごもっともなご意見だ。
「そうだね! 第二王妃様の秘密を知ったら、やっぱり国王様の方に誰かの報告が行くかもしれないからね!」
私はすぐさま、国王様のお部屋に異空間を転移させた。
『第四王妃、それは本当なのか?』
画面を覗いて、私はギョッとした。
「えっ、もう始まっているよ!?」
私は思わず声を上げた。
連続ドラマを見逃してしまいそうになったときと似ている。国王様に話しているのは、第四王妃のオルタンシア様だ。
『もしかして、聞き耳立てていたのって第四王妃様なのかな?』
「そうなのかも……」
私と偽王子君は、食い入るようにして見守る。
第四王妃は不敵な笑みを隠して一礼した。
『はい、本当でございます。国王陛下』
「どうやら第四王妃様が聞き耳を立てていた犯人みたいだよ」
『そうだね』
でも、あの時、近衛兵はちゃんと見張っていた。
どうやって、聞き耳を立てれたというのだろう?
そんなことを考えているうちに、国王様の動揺が激しくなった。
『し、しかし……。私とアレクシス王子に血のつながりがないとは、とても信じられない』
「半分は信じている辺り、相当オルタンシア第四王妃にお熱らしいね」
『だね~』
アレクシス王子への愛情は天秤にかけられるものだったらしい。
なんだか、ガッカリだ。
『これが、証拠の王妃様の日記でございます』
「なっ!?」
私は吃驚仰天した。その王妃様の日記には番号が『その一』と振られてある。今まで、私が拝借していた日記だ。
「そ、それ……! 私が今朝、王妃様の部屋にこっそり返した日記帳だよ……!」
『しっかり、覗かれていたということだね……!』
「でも、一体誰が……?」
それは、今まで私と偽王子君が監視されていたということに他ならない。そんな離れ業をできる人間なんているのだろうか。
でも、ウワサをすれば影というのは本当なのだろう。姉の部屋の私の隣に異空間が開いて手がにゅっと伸びてきたので、私は吃驚して尻餅をついた。
「……ッ!? よ、妖精!?」
「僕だよ、僕」
飄々として現れた妖精に、私と偽王子君は思わず声を上げていた。
『「月湯君!?」』
それは、妖精の月湯君だったのだ。




