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異空間王子と妖精少女は王子様のスパイ  作者: 幻想桃瑠
◆◆◆――第五章 第二王妃様と王子様を窮地から救い出せ!――◆◆◆
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第四十九話 アレクシス王子の秘密

「これは、蜜柑の日記じゃないな?」


 アレクシス王子の声が乾いている。私が答えずにいると、王子様が顔を上げた。

 眼力のある目が真剣に私を見つめる。まるでメドゥサに睨まれたような効果が生まれた。石になったように、私は嘘が付けなくなった。


「は、はい……王妃様のです……!」


 アレクシス王子は、脱力したようにため息を吐いた。

 そして、傍に合った椅子に腰かけた。


「この日記によると、私は王家の誰とも血のつながりがないと」


 アレクシス王子は手を額にやって打ちひしがれている。国王様とも親子ではなかったという理由が書かれているのだろう。ショックじゃないわけがなかった。


「そ、それは、本当なんですか? 私、その日記をまだ読めてなくて……」


 私はまだ信じられずにいる。

 誰とも似てない子供だって世の中には居るのだ。アレクシス様だって――。


『蜜柑ちゃんの言うとおりです。王家の血のつながりがないのに、どうして王子様になれるというのですか?』

「そうだよ! 偽王子君の言うとおりですよ!」


 アレクシス王子は、自嘲したように笑って、日記をひらひらさせた。


「書いてあるぞ、ここにな」

「ほ、ホントですか?」


 アレクシス王子は嘆息して、ページを開いた。

 そして、王妃様の日記を音読し始めた。


「『私は、国王のもとに嫁いでから、三年間妊娠の兆候がなかった。このままでは、私の地位が危うい。だから、信用のおけるメイドたちを使って、妊娠したふりをすることにした』」

「えっ!? 妊娠したふり!?」


 アレクシス王子は、あざ笑うかのように抑揚をつけて日記を読んだ。


「更に、面白いことが書かれている。『メイドが、産んだばかりの孤児を拾ってきた。これ幸いと私は自分が産んだ子にすることにした』……ふざけているのか?」


 確かに、ふざけている。

 それが本当なら、王妃様の策略にアレクシス王子は今まで振り回されたことになる。

 でも、それが『本当なら』だ。


「で、でも、それが、アレクシス様とは限らないんじゃ?」


 私は僅かな希望を口にしたが、アレクシス王子は頭を振った。


「ここに証拠が書かれてあるぞ。『幸い国王陛下も疑っておられない。この子供の右の二の腕にはほくろがある。珍しい星形のほくろだ。そして、この子供は、今日からこの宝玉国の第一王子となるのだ』……とな」


 二の腕に星形のほくろ……!? そんな証拠が!?


『あ、アレクシス様にもあるんですか……?』


 アレクシス王子は、ジャケットを脱いだ。

 そして、ネクタイを緩める。

 衣擦れの音が響く。

 アレクシス王子はブラウスを脱ぎ捨てた。


 そして、私に近寄ってきた。


「あ、アレクシス様!?」

「あるぞ、ほらな……?」

「っ……!」


 私は絶句した。

 確かに、アレクシス王子の二の腕には星型のほくろがあったのだ。

 本当にアレクシス王子には、王家と血のつながりが全くない――。

 その時、ドアの方でカタンと音がした。


「えっ!? な、何?」

『誰かが盗み聞きをしていたみたいです!』


 ま、マズい!

 こんなこと、誰かに聞かれたら……!


「ちょっと、追い掛けて来ます!」

『行こう、蜜柑ちゃん!』

「うん!」


 私は半トリップを止めて、盗み聞きしていた者を追跡することにした。


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