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異空間王子と妖精少女は王子様のスパイ  作者: 幻想桃瑠
◆◆◆――第五章 第二王妃様と王子様を窮地から救い出せ!――◆◆◆
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第四十八話 王子様の黒い笑み

『やったね、蜜柑ちゃん!』


 偽王子君は、大喜びして異空間をぐるんぐるんさせている。


「あっ、そうか……! 翻訳しないと読めないんだった……!」


 私はすぐに、異空間の画面を『いつもの所』に転移させた。

 相変わらず、『この部屋』は静かで落ち着いている。

 しかし、それに気づいた偽王子君が、大慌てしたように異空間を震わせている。


『ちょ、ちょっと……! 蜜柑ちゃん……!』

「なにかな、偽王子君? 翻訳お願いします!」

『そ、そうだけど、この部屋って!』

「アレクシス様のお部屋だよ。見られる心配のない部屋はここぐらいしか……」

『ちょっと待ってよ、蜜柑ちゃん!』


 鈍い私には、偽王子君が大慌てしている理由がさっぱり分からない。


「偽王子君、どうしたの?」

『アレクシス様の秘密をどうしてアレクシス様のお部屋で読むの!?』

「あ、そ、そうか! バレるとマズいんだった……!」


 その時、スッと日記が上に取り上げられた。


「あっ!?」


 私は驚いて、半トリップした。


「バレるとマズいとはなにがだ?」


 アレクシス王子の声が聞こえてきた次の瞬間。アレクシス王子の手の中に王妃様の日記があった。日記は見事に没収された格好となっていた。


「あああああああ、アレクシス様!?」


 噂をすれば影だ。いや、ここはアレクシス王子が居る部屋なので王子様が居て当然なのだ。


 アレクシス王子の瞳が、悪戯っぽく閃いた。


「ほう? 蜜柑は、日記なんてつけているのか?」


 王子様は、日記の表紙をまじまじと見ている。

 表紙には、宝玉語で『日記その一』とだけ書かれてある。先ほど、翻訳されたときに、表紙だけを読んだのだ。

 今は、異空間の画面を通して見てないので、宝玉語にしか見えてないが。


『蜜柑ちゃんって、前々から思っていたけどかな~り抜けているよね!』


 偽王子君は呆れかえっている。


「あ、あはは……!」


 実は、両親や姉からも『馬鹿な子ほど滅茶苦茶可愛い』と絶賛されている。

 性格を直そうにも、一向に直らない。三つ子の魂百までなのかもしれない。


「アレクシス様、返していただけませんか? 見られると恥ずかしいので」

『そ、そうそう! 蜜柑ちゃんの秘密なんて読んだって……』


 この際、私の日記ということにしよう。

 そして、アレクシス王子の良心にゆだねるしかない。


「そうですよ、私の日常なんてつまらないですから……!」

「フ……」


 しかし、アレクシス王子は勝ち誇ったように笑った。

 な、なんだ!? アレクシス王子のその黒い笑みは……!


「嫌よ嫌よも好きのうちと言うではないか」

「なんだそれはー!」


 私は取り返そうと、アレクシス王子の傍に回った。

 しかし、アレクシス王子はこちらにくるりと背を向けた。

 そして、王妃様の日記を捲り始めた。


「えっ……!」


 アレクシス王子が、日記を読んで顔を上げた。

 顔色なしになって、こちらを戸惑ったように見ている。


「蜜柑、これはどういうことだ……?」


 げっ! ま、マズい~……!


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