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異空間王子と妖精少女は王子様のスパイ  作者: 幻想桃瑠
◆◆◆――第五章 第二王妃様と王子様を窮地から救い出せ!――◆◆◆
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第四十七話 王妃様の日記

 余弦国から姉の部屋に帰ってきても、心が淀んでいるようでスッキリしない気分だ。

 暗くなった部屋の遮光カーテンを閉めようと立ち上がった。

 気持ちとは裏腹に、姉の部屋の窓からは夜空が澄み渡っていた。


『アレクシス王子は、平民の子だよ』


 夜の気配と一緒に心に呼びさまされる月湯君の告白。

 それを遮断するように遮光カーテンを閉めて、LEDの照明を点けた。

 姉の部屋が色を帯びて鮮明になる。不思議なもので、周りが明るくなると心に希望が灯るような気がした。だから、アレクシス王子の事も多分大丈夫だ。でも、ひとの秘密を持っているというのは心苦しい。


「偽王子君、偽王子君……!」

『蜜柑ちゃん、どうしたの?』

「アレクシス様にお伝えした方が良いのかなぁ……」


 私は、異空間の偽王子君を前にして床に座った。

 手持無沙汰に手近にあったクッションを抱きしめる。


『うーん、知らない方が幸せっていうけど、アレクシス様の場合は……』


 偽王子君は言葉を濁した。

 思案するように、異空間の画面がぐるぐると回っている。


 そうなのだ。アレクシス王子の場合は、王妃様に愛情を注がれていない。

 だから、知っても知らなくても同じなのかもしれない。


『でも、月湯君の言っていることが本当なのか分からないよね?』

「そ、そうだよね! でたらめという可能性もあるもんね!」


 偽王子君の言うとおりだ。月湯君の言っていることが正しいとは限らないのだ。

 確かに、それも一理ある。


「じゃあ、私と偽王子君で調べようか?」

『うん、そうだね!』


 偽王子君が付いていたら百人力だ。


「じゃあ……まずは、王妃様のお部屋に行こう!」


 私はライラック王妃のお部屋に異空間の画面を転移させた。

 王妃様のお部屋も暖色の光で色鮮やかだった。

 就寝前なのか、王妃様はお一人で机に向かっていた。

 勿論、こちらには王妃様たちは気付いていない。


「王妃様、何かを書かれているみたい」


 王妃様の羽ペンがノートの上を軽やかに滑っている。

 異空間の角度を変えてみると、偽王子君が翻訳した。


『なんか、日記みたいだね』

「日記かぁ……。他にもあるかな?」


 王妃様が嫁がれて、長い年月がたっているのだから、日記は長期にわたっていると考えるのが妥当だろう。

 私は、本棚の前に異空間を移動させた。


『おおっ、これは……!』

「王妃様の日記帳が沢山!」


 すると、日記と思われる背表紙のノートが数冊に渡って本棚に収まっていた。


『番号が振られているから、最初の方が良いんじゃないかな?』

「誰も見てないよね?」

『見張ってるよ、早く!』

「う、うん! えいっ!」


 手だけを半トリップさせて、『その一』の番号が振られた日記を掴んだ。

 そして、手を素早く引っ込めた。


「よーし! 王妃様の日記ゲット~!」


 私は、姉の部屋で王妃様の日記を抱きしめた。古本屋のにおいと、香水のほのかな匂いが混ざったような香りがした。


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