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異空間王子と妖精少女は王子様のスパイ  作者: 幻想桃瑠
◆◆◆――第四章 ザーフィア王子の予言を回避せよ!――◆◆◆
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第四十四話 月湯君の策略

 その日の夕方。私は、姉の部屋に帰ってきた。

 急いで、異空間をローズ第三王妃の部屋に転移させる。

 すると、丁度月湯君とローズ第三王妃が喋っているところに出くわした。


『ローズ様』


 月湯君は半トリップしたまま、恭しく一礼している。


『おお、月湯殿か!』


 待ちかねた様子で、ローズ第三王妃は椅子から立ち上がると月湯君のもとに歩いてきた。


『ローズ様、骨董品売買の事で私からもご提案があるのですが』

『提案……?』

『せっかくですから、私のコレクションを余弦国のザーフィア王子に差し上げてみては?』

『ザーフィア王子に……?』

『はい、きっとギルバート王子を次期国王に推してくださること間違いないですよ』

『それは良い!』


 ローズ第三王妃は嬉々として力強く首肯していた。

 でも、これは、月湯君の策略だ……!


「これが全てではない事は百も承知だよ!」

『でも、どうするの、蜜柑ちゃん? このまま傍観していたら』


 そうだ、このままだと月湯君の思うつぼだ。

 私は、やきもきしていたが、そのまま異空間に顔を突っ込んだ。


「ちょっと待った!」


 私の心臓はバクバクしている。

 でも、私以上に驚いているのはローズ第三王妃と月湯君だ。


「妖精殿が二人!? これは、吉兆か!?」


 勿論、吉兆でも何でもない。

 月湯君は企んでいて、私と偽王子君はそれを止めに来ただけだ。


「蜜柑さん? 何か用かな? 僕のお仕事を邪魔しないで貰えるかな?」


 月湯君は、冷めた目をこちらに向けて嗤った。

 いつもとは違う感じの月湯君だ。


「ローズ様! 月湯君に騙されてはダメです!」

「だ、騙されるだと!?」

「はい!」


 ローズ第三王妃は驚いている。

 普通なら、月湯君の味方をするのだろうが、私も妖精であるから無下にできないらしい。

 月湯君は睨んでいるが、構わずに続けた。


『月湯君と余弦国はグルなのです。これは、余弦城の国宝級の骨董品です。余弦国――つまり、ザーフィア王子は余弦国にこれを渡したローズ様を『これは、私の国のものだ。盗品をなぜ売っている』と、糾弾する策略だったのです』


 つまり、国際問題になるということだ。

 余弦国と宝玉国に亀裂が入ると占ったザーフィア王子の予言は当たったことになる。

 いや、それを未然に防いだので当たってないことになるのか。


 ローズ第三王妃は寝耳に水だったようで、驚き方が尋常ではない。


「そ、そんな……!? そのようなことはないはずだ! そうだな、月湯殿!」

「いや、残念ながら本当ですよ」


 あっさりと、月湯君は肯定した。

 ローズ第三王妃の失望の色が濃くなった。

 月湯君は髪の毛をさらりと払った。


「あ~あ、流石だね。蜜柑さんと偽王子君。流石、『我が主』のザーフィア様が一目置くだけある」


 そう。先ほど、月湯の隣にいたのは、ザーフィア王子だった。

 妖精月湯の主は、他でもないザーフィア王子なのだ。

 ザーフィア王子は、妖精を捕まえたがっていたが、私の代わりに月湯を配下にしたようだ。


「じゃあ、バレたんで、差し上げた骨董品は返してもらいます。ではでは、さようなら、ローズ様?」


 月湯君は捨て台詞を吐いてから、お宝を全て回収して姿を消した。

 ローズ第三王妃は、その場に崩れ落ちた。

 私は吃驚して駆け寄った。


「だ、大丈夫ですか! ローズ様!」


 半トリップしたままで、ローズ第三王妃の手を取って上体を支えた。


「あ、ああ。大ごとにならなくて本当に良かった……!」

「本当にそうですね……!」


 ローズ第三王妃は、荒い息を吐いていて疲労困憊気味だ。


「恩に着るぞ、妖精殿! このご恩は一生忘れぬ!」


 結果オーライというところだろう。

 ローズ第三王妃はアレクシス王子の敵だけど、感謝されると不思議と嫌な気持ちにならない。

 私は安堵の笑みを浮かべた。


「では、ローズ様!」

『失礼します!』


 私は半トリップを止めて、姉の部屋に帰ってきた。


『一件落着だね、蜜柑ちゃん』

「そうだけどね、偽王子君。月湯君は私に腕輪をくれたままなんだよ」


 私の腕には滅茶苦茶綺麗な腕輪がはまっている。


『返した方が良いんじゃないかな盗品なんて』

「そうだね、余弦城に返しに行こう!」


 私は、異空間の画面を余弦国の余弦城に転移させたのだった。


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