第二十五話 二つ目の願い星……?
「へぇ、それで、お願い事は叶えられたんですか?」
「いや、これが、全く効かない。だから、気休めか何かだと諦めている」
「そうですよね、お守りみたいなものかもしれませんよね」
私はアレクシス王子から願い星を受け取って、面白がって観察していた。冷たい石や金属のようで、ずっしりと重い。
「だが、妖精の蜜柑なら、使えるのではないかと思った」
「えっ!? わ、私なら!?」
アレクシス王子は上品に笑っている。
「だから、偽王子の悩みを解決してやると良い」
「あ、ありがとうございます……」
これは、アレクシス王子のギャグか何かだろうか。
私はノリツッコミするように、仰々しそうに願い星を両手で掲げた。
「じゃあ、願い星様~! 偽王子君の悩みを解決してあげてください~!」
すると、カッと頭上で願い星が光った。ギョッとして、アレクシス王子とパトリック執事は仰け反っている。
『お願い事は、一つしか叶えられないよ~。具体的に言ってくれないとダメ~!』
「ね、願い星が喋った!?」と、パトリック執事は仰天している。
願い星の声は高い声だった。いきなり石が喋ったので、私の身の毛が弥立った。うっかりそれを落としそうになる。慌ててしっかりと両手で支える。
まさか、冗談が本当になるだなんて思いもよらない。
「じゃあ、異空間に閉じ込められている偽王子君を助けだしてください!」
『それは、私では無理かな~? 私ができるのは言葉の力を操ることかな~?』
「じ、じゃあ、異世界の方からでも偽王子君が喋れるようにしてください!」
『おっけ~! じゃあ、叶えるね~!』
明るい光が染み渡った。
そのあと、異空間から声が聞こえてきた。
『蜜柑ちゃん……俺の声は聞こえる……?』
確かに、偽王子君の声だ。私は何度も頷いた。
「聞こえるよ、偽王子君!」
『良かった! これで、異世界の方からでも蜜柑ちゃんと喋れるね!』
「うん、そうだね~! ありがとうございます、アレクシス様!」
「いや、構わないよ。私には使いこなせなかったのだからな」
アレクシス王子は苦笑している。
それでも、私に願い星を譲ってくれたのだから、アレクシス王子は良い人だ。
『アレクシス様、お初にお目にかかります』
「ああ、偽王子か。私も声を聴くことができてうれしいよ」
偽王子君が異空間でなければ、握手でもしてそうな場面だ。
アレクシス王子は、偽王子君の異空間を興味深く観察している。
『はい、アレクシス様のお蔭です。でも、自由には動けないから、蜜柑ちゃんに何かあっても助けてあげることはできないかもしれません』
偽王子君はシュンとしてしまった。
そんなことないよ! 私の心を埋めてくれたのは偽王子君の存在なんだから!
口を開きかけたが、アレクシス王子の方が早かった。
「一つ願いを叶えたので、この願い星はもう使えないのだろう。では、もう一つ願い星を用意しよう」
「えっ? もう一つあるんですか?」
そういえば、快晴国の大使が二人にくれたとかなんとか……。
「私の腹違いの弟のギルバートが持っている。だから私から交渉してみよう」
アレクシス様って、なんていい人なんだろう!
私は敬意をこめてアレクシス王子を見つめた。
『アレクシス様、よろしくお願いします!』
「よろしくお願いします!」
私は、動けない偽王子君の代わりに一礼した。
そうして、私と偽王子君は現実世界の姉の部屋に帰って行ったのだった。




