第二十四話 願い星と偽王子
宝玉国の宝玉城に異空間の画面を移動させた。そして、異空間からアレクシス王子の部屋に半トリップした。
丁度、パトリック執事がアレクシス王子にお茶を入れていたところだった。
「アレクシス様、こんにちは!」
「ああ、蜜柑か。よく来たな」
「蜜柑様、ようこそお越しくださいました! こちらにおかけになってください!」
パトリック執事が私にもお茶を入れてくれた。私は、異空間からよっこらせと出てきて椅子に座った。アレクシス王子とパトリック執事は、何故か目を真ん丸にしてこちらを見ている。私二人の瞠目した興味津々の目に、きょとんだ。
「……な、何か?」
「いや、妖精の蜜柑も人間みたいだなと思ってな」
「左様でございますね、アレクシス殿下」
それで驚いていたのか。
実は、私は人間だよ、とは言いにくい空気だ。
現実世界ではただの人間だが、異空間を操れるために、異世界では妖精と呼ばれているだけの話だ。
私は、せっかくだから私の異空間も紹介することにした。
「それでですね。これが偽王子君なんですよ~」
異空間は姉の部屋をぽっかりと映し出している。
しかし、丸い小窓のようにしか見えない。
こちらからは偽王子君の声は聞こえてこないのだ。
「これが、偽王子なのか……」
手品を見ているような感覚で、アレクシス王子は感嘆の息を吐いた。
「アレクシス殿下……!」
「どうした、パトリック」
パトリック執事は興奮しながら、自信満々に説明し始めた。
「妖精には羽があると聞きます! 蜜柑様の羽がこれなのでは!?」
「そうか! 偽王子とは羽の事だったのか!」
パトリック執事の説明にアレクシス王子は大いに納得して頷いている。
ち、違うとは言えん……。
そうだ、本題に入らなくては!
「き、今日は、アレクシス様にお話があって来ました!」
気晴らしに快晴国の姉の店に誘おうと、話を持ちかけようとした。
アレクシス王子は、「うむ」と頷いた。
「奇遇だな。私も、蜜柑に話がある」
「私にですか?」
私は目をぱちくりさせた。
私にって、なんだろう?
また、アレクシス王子は厄介ごとに巻き込まれたのだろうか。
「とても良いことだ。良いのは、偽王子にだが」
「偽王子君に!? ほ、ホントですか!? 嬉しいです! ありがとうございます!」
アレクシス王子は、少しだけ悲しそうな顔をした。私はその意味が分からずに、首をかしげた。
「どうかされましたか?」
「いや……それでだな」
アレクシス王子は、気を取り直したように話し始めた。
「蜜柑の妖精の国ではどうか知らないが、私の国では魔法などというものは妖精以外存在しないというのが常識だ」
「はぁ、そうなんですか。もっと、魔法が使えたりするのかと思いましたけど……」
「まあ、電気・ガス・水道は通っているがな……それで本題だが。パトリック、あれを」
「はい、かしこまりました」
パトリック執事は奥から何かを抱えて持ってきた。アレクシス王子は、受け取って布を取った。すると、大人の握りこぶしぐらいある大きな石があった。
「これって……?」
鈍色でトゲのようにごつごつしている。隕石なのか……?
「これは、『願い星』という願いを叶えてくれるアイテムらしい」
「えっ、願いを……?」
私は眉をひそめた。魔法のない世界でそんなことができるのか?
「そういうことだと言って、快晴国の大使が私とギルバートにお土産にくれたものだ」
アレクシス王子は微笑んでいる。なんだか、面白くてワクワクする。魔法のない異世界で、妖精が存在するのも本当だ。となると、この願い星は果たして願いを叶えることができるのだろうか?




