表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

44/62

第二章 その後の話2 スミカの決断

 復讐代行の夜から一夜明けた現在、スミカは魔獣狩りの屋敷内にいた。


 ヴィレーたちとの決着はついたが、一応まだ彼女はお尋ね者なので大っぴらに行動することができないからだ。


 もっとも、別にお尋ね者ではなくても現在のスミカは怪我を負っていて自由に動けないので、否が応でも大人しくしているしかないというのが本当のところである。


 魔獣狩りのかかりつけ医に診察と治療を受けたスミカはベッドに横たわった状態で、ぼんやりと今後の事について考えていた。


 六年前に止まってしまった時間は再び動き出した。それは分かっている。

 命を懸ける覚悟で臨んだ復讐だったが、結局は自らが行なう事は叶わなかった。


 結果として願いは成就したが、果たしてそれを素直に喜ぶべきなのか――スミカの心中はそんな葛藤に飲み込まれそうだったのである。


「はあ…………」


 大きなため息を吐き、天井を見上げる。


 すると静寂の室内に小さなノックの音が響いた。


「どうぞ、開いています」


 やや緊張気味にドアの向こうの相手に聞こえるくらいの声量で返事をすると、ゆっくりと扉が開き一人の人物が姿を見せた。


 自身が子供の頃から見知った男性の姿を確認し、少しだけ緊張が緩和する。


「静養しているところ悪いな。少しだけ話がある」

「いえ構いません。コクロー兄さま」


 身体を起こしながらスミカは、彼を室内へと招き入れた。


◇◇◇


「それで、お話というのはどういった?」

「ああ、それなんだが……まあ、お前のこれからの話だな」


 ベッドの傍の椅子に腰かけたコクローがスミカの様子を窺いながら言う。


「それでしたら、某も少し考えていたところです」


 そう答えたスミカの顔を見て、何やら渋そうな顔をしていたコクローの表情が少しだけ和らいだ。


「そうか、お前も考えていたか」

「はい。今はまだ答えは出ませんが、一度山へ戻り再び修行しようかと……」

「ん? 修行?」

「え? はい」

「いや、俺が言ったのはそういう意味ではなくてな……」


 明るかったコクローの表情が再び冴えないものへと変化した。

 その変化の意味が理解できず、スミカは小首を傾げる。


「まあ、少し言いにくいんだが、今回の件の依頼料、それと治療費をだな請求させてもらう必要があってだな……」

「依頼料と……治療費?」

「まあその、今のお前の立場上、まともな医者に見せる訳にはいかなかったからだな、その腕は良いがちょっとばかし値の張る医者に頼んだ訳で……」


 申し訳なさそうにコクローが持っていたカミを差し出した。それを受け取ったスミカはそこに書かれていた文字を読む。


「請求書……あの、兄さま、これ桁がおかしくないですか?」

「一緒に助けた女性の分も入ってる。ジェンに払うと言ったんだろ?」


 それは依頼料だけのつもりだったはずだが……だからといって今更、払えないとも言えなかった。あの女性があんなひどい目にあったのは自分の所為でもあるのだから。


「……払います」

「そうか。一応俺が立て替えておいたんだが、あまり余裕もなくてな。分割でも良いから少しずつ返してくれれば」

「はい。それでコクロー兄さまに一つお願いがあります」

「なんだ?」


「……お仕事を紹介してください」


 こうしてスミカは借金返済の為に、しばらくの間ディンバイで働くことになったのであった。


次回から第三章になります。


しばらくお待ちください。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ