表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
神と人が相席するカフェは、神と人が戦う世界にある。  作者: 蒼い諒


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

4/5

Ep02 トールと濃さが続くアイスコーヒー ①

「ハァ、ハァ…老人相手に…手こずるとは…」


神族で1,2を争う強者のトールは

至高のハンマー「ミョルニル」を握りながら

荒い息を吐き出していた


「俺一人で人間どもを駆逐してやろうと塔を降りれば

こんなヤツがいるとは…面白い」


高揚した笑みを浮かべるが

その巨躯は、今や泥と血にまみれている


「なんじゃ、そんなトンカチ…痛くも…」

小柄な老人、五十嵐も笑いながら毒を吐くが

ヨルムンガンドの眷属である彼の身体は

ミョルニルの強烈な一撃を何度も受け、もはや満身創痍


「…のどが渇いた」

同時に、二人の口から、その言葉が漏れ

同時に、二人の脳裏には 「例のカフェ」 が浮かぶ


トールは五十嵐をダウンさせたまま歩き出すと


「貴様…名は?」

「五十嵐じゃ」

「…ふん、俺の名は」

五十嵐はトールの名乗りを遮るように手を振った

「…知っとるわ、トールじゃ」


「…今度会ったら、覚えておけよ」

フンと鼻を鳴らし、震える足をバンバン叩くと

50階を目指し階段を降りる


(さすがはトール、強さがケタ違いじゃ…)

五十嵐は、その背中を見送り目を閉じた


トールは渇きに飢えながらも歩き続け

カフェのあるフロアに着いたとき

壁にあるプレートに気がついた


『ここは、バベルの塔 50階』


「クソッ、巨人族め…バベルの塔だと?

違う神々ゆかり名前をワザとつけやがって、嫌味な奴らだ」

トールは益々、のどが渇く思いをしながらも

カフェの入口にたどり着いた


カランコロンカランコロン…


「…冷たいものを!何でもいい、一番冷たいものを!」


トールは カフェ・ウィルドに来るのは初めてだった

しかし、のどの渇きで視界と思考が狭まり

椅子にズカズカと座ると、マスターに詰め寄った


「いらっしゃいませ、おや、貴方は…トールさんですね?」

「そうだ! 早く!」

マスターの穏やかな声が、かえって彼をイラつかせた


「では…アイスコーヒーはいかがでしょうか?」

「何でもいい! 早くしろ!」

トールは、カウンターを何度も叩き

ミョルニルを足元に落とす


マスターは静かに微笑み頷くと

冷凍庫からキンキンに冷えたグラスを…いや

トールの体格、状況を考え

キンキンに冷えた 大ジョッキ を取り出した


続けて、木製のハンドミルに手早く豆を入れ

粗挽きに仕上げると

再び冷凍庫から 氷を取り出す


「なんだ? 氷が…茶色いぞ」

トールは取り出された氷の「色」に気づき、思わず身を上げた


キンキンキン、ティィン…

澄んだ高音と共に、氷がジョッキに入る

そして、ジョッキに乗せられたドリッパーに

マスターが ハンドケトルでゆっくりと 熱湯を注ぐ


(熱湯? 冷たい飲み物を頼んだぞ!)

予想外の状況に驚くトールであったが

すぐにそれは杞憂である事に気づく


熱湯で抽出されたコーヒーは

ジョッキの氷に流れ落ちると

即座に霜を作りながら冷えていった

その製法と淹れたての香りに、トールは思わず息を飲んだ


「おい、その氷…」

「お気づきで、ええ、この氷はコーヒーを凍らせています」

「なるほど、溶けても濃度が同じか…」

トールは一連の出来事に荒々しさが抜け

今は深くジョッキを見つめていた


その時

カランコロンカランコロン…

ドアの開く音にトールは振り向き、目を見開いた

「貴様は!」

フラフラと店内に入る五十嵐

トールは足元のミョルニルを振り上げようとしたが

全身が金縛りのように固まり

1ミリも持ち上げる事ができなかった


「何をした!貴様ァァ!」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ