表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
神と人が相席するカフェは、神と人が戦う世界にある。  作者: 蒼い諒


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
30/33

Ep15 和平の匂いはデミグラスハンバーグの如く ①

バベルの塔の50階――『カフェ・ウィルド』

二人の人間が、いつもとは違う思いでカウンター席に座り

窓から見渡す、白く濁る雲を不安な思いと共に眺めていた


「…で、鈴木さん

本当に、この時間に、あの最高神が来るのですか?」

カウンターの中央に腰掛け

落ち着きなくネクタイを緩めながら、管理局の課長が声をあげる


その隣で、鈴木は やや緊張した表情で

ブレンドコーヒーのカップを握りしめていた


「はい、課長

オーディンさんは水曜の この時間に来ることが多いです

それに、マスターの仲介があれば、必ず来ると思います」

鈴木は渇いた口を湿らせるようにコーヒーを飲み


「……ただ、本当に良かったんですか?

上層部には単なる50階の威力偵察としか言ってませんが…」


鈴木が小声で尋ねると

課長は小声で返す


「上の連中に 『最高神と極秘の和平交渉をしてきます』 なんて真面目に言えないよ…

あいつらは戦場が、自分たちの所で動いていると思ってる

だから…これは 『私の判断』 で行って、なんとか動かしたい

事前交渉、事後承諾でハンコを捺させるつもりです」


課長はそう言って、目の前に置かれたお冷やを一気に飲み干した


「それに、現在、眷属側が神々を押し始めた…

それを受けて、アメリカや中国やロシアは

眷属のクローン研究だの人体実験だのに色めき立っている

このまま続ければ、終結後は人間同士の争いになりそうです

…だからこそ、歴史的な和解の第一歩をこのタイミングで行いたい」


カウンターの奥で、静かにカップを拭いていたマスターが

穏やかに微笑みながら二人に声をかけた

「その話を聞いた時、本当に驚きました、ぜひ、当店を使ってください」


「ありがとう、マスター、俺はしがない中間管理職だ

暴力じゃなく、言葉の毒と心の掴み合いで折り合いをつけるのが仕事ですから」


カランコロンカランコロン……

その時、軽やかな鈴の音が、店内の空気を震わせた


ドアを開けて入ってきたのは

片目に鈍い光を宿した最高神、オーディンだった


「うん?…先客がいるとはな、マスター」

オーディンは鈴木たちを一瞥し、ドカッと席に座る


「マスター、暗殺者のパスタはあるか?」

「申し訳ありません、オーディンさん、来週からでして…」


オーディンはやや立ち上がると

「来週と決まっているなら、今日でもよかろう?」


その言葉にマスターは苦笑いをしつつ

「代わりに本日は…カフェ始まって以来の大ボリューム

じっくりと煮込んだ 『デミグラスソースのハンバーグ』 をご用意しております」


「何だと!?」

オーディンはあからさまに肩を落とし、カウンターを拳でトントンと叩いた


「今が大事」と言わんばかりのあの情熱的なパスタへの執着が

一瞬で裏切られた形だ


そこへ、課長がすかさず滑り込んだ

「実はそのメニュー、我々がマスターに頼み込んだんです…

マスターの作る料理は、どれも私たちの心を射抜いた

ならば、そのマスターが作る新作ハンバーグを

いつもとは違う、豪華なメニューを我々と相席でつつきながら

少しばかり 『今後の話』 をしませんか?」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ