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16_ビーチはビーチ。でも、なんでこうなる?




「輝く太陽!」

「青い海!」


 はい。白い三角ビキニの水着に白いネットカーディガンを着ている光海さん。

 はい。ブルーグリーン斜めストライプのビスチェ着てる、水樹。


 そして僕は。

 スカイブルーのトランクスの海パン。

 そう。海水浴だ! そして日光浴だ! スイカ割りに! 焼きイカなんだ!!


 のはずだったのに? なんでこうなる?


「お~……。悪いのう、にーちゃん。何にせよ、手が足りなくてのう……」


 うぎぐぐぐぐわっ!! 重たい重たい! この……!!


「そう言う条件とは言え、なんで僕は……? 地引網(じびきあみ)を引いている⁈」


 話はこうだったりする。

 そもそも、僕らが旅館を予約しようとした7月下旬では、既に。

 8月の頭の海水浴のために、宿泊施設の予約を取るには遅すぎた。

 ほとんどの旅館やホテル、民宿はお客さんの予約でいっぱいで、僕たちがそれをするのはまず不可能だったんだ。


 そこで、まぁ。僕らは食い下がって頭を捻った。

 それで考えているうちに、光海さんがこう言ったんだ。


「知り合いに、民宿もやってる漁師のお爺ちゃんがいるんだけど……。この時期の人手がいつも足りないって言ってたなぁ」


 とか言う事を言うので、僕と水樹は、


「それだーっ!!」


 と目を光らせてその話を詳しく聞き。


 『漁を手伝う代わりに、食事付きで漁師さんの民宿に泊めてもらう』


 という約束を、光海さんがその漁師さんに取り付けて。海行き旅行の為の宿を確保したんだ。


   * * *


「最近の若いもんにしては珍しく。にーちゃんはよく働くなぁ……」


 年季の入った、日焼けの肌。

 今年69歳になるという、漁師のお爺さんはその名前を昭義(あきよし)さんという。

 皺が多少刻まれているモノの、何か精悍なイメージが強い昭義さんには、息子さんが二人いるらしい。けど、高校の頃までは昭義さんの手伝いで漁をしていたということだけど、その後は。

 都会の大学に入学して、その後は都会で就職してしまったそうな。


「うがががが……。なんとかやってましたけど、なんですかあの地引網って……。めちゃくちゃ重たいじゃないですか⁈ 昭義さんと二人がかりだったのに……!」

「ふはは、そうかの? まあ、あのサイズの網は可愛いもんだぞ? 昔やっていた大仕掛けは、10人20人がかりで引いていたからな」


 顎のまばら白髭を撫でて、何かを思い出すような表情で。少しうれしそうな昭義さん。


「まあ、なんにせよじゃ。地引網で、今晩の君達や別の客の為のサザエやウニが獲れたからのう。量は十分だ。もう、今日はいいぞ。えーと、にーちゃんの名前はなんていうんだ?」

「はい、正時です」

「ふむ。サッパリした名前だな」

「はは。時々言われますね、それは」


 うん、時間に正しいという名前だし。僕の名前は。


「では、正時にーちゃん。浅見君たちの所に行っていいぞ。海の家も何軒もあるからな、この砂浜の夏には」


 網に絡まった獲物を外してバケツに放り込みながら、昭義さんはそう言ってくれた。


   * * *


「おー!! おつかれ、正時!!」


 水樹とビーチバルーンで遊んでいた光海さんが。

 地引網でくたびれてフラフラになりながら歩み寄った僕を労ってくれる、


「私達も手伝えればよかったんだけど……。女の子じゃ邪魔になるって言われちゃったし……」


 水樹もなんか済まなさそう。まーね、君達は僕がヘビーな労働をしている間に、海の家で何か食べてたね。まあいいけどさ……、がふっ!


「どうする? 今もう、2時くらいだけど……。一応、泳ぐ?」


 光海さんはそう聞いてくる。


「もちろん、泳ぐよ。クロールしかできないけど、僕は」


 僕のその言葉に対して、水樹が笑う。


「私もクロール得意だよ? ブイまで競争しよっか?」


 っていって、ニッコニッコいい笑顔。

 そう言えば、水樹も光海さんも。

 サンオイル塗って、日光で焼いたみたいで。お肌が健康的な小麦色になってる。


「う~ん。なんだろ、この気持ち……。二人の小麦色の肌見てたら……」


 とか僕が呟くと。二人がなんか、顔赤くして。

 僕の背中をパチーンと。平手でたたいた。


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