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第六話「沼を抜けた」
沼があった。
深かった。
底が見えなかった。
迂回しようとした。
しかし、沼は広かった。
どこまでも広かった。
入った。
泥が深かった。
体が沈んだ。
泥の中を這った。
前が見えなかった。
匂いだけを頼りに、這った。
途中で、何かに触れた。
大きかった。
動いた。
止まった。
息を止めた。
その何かも、止まった。
長い時間、二つとも止まっていた。
その何かが、別の方向へ動いた。
去った。
また、這った。
泥の中を、這い続けた。
出た。
沼の向こう側に出た。
体が泥だらけだった。
草の上で、体を擦った。
泥を落とした。
空を見た。
曇っていた。
また、這い始めた。
(第六話 了)




