7/10
第七話「焼けた野原を越えた」
野原があった。
草が枯れていた。
焼けた匂いがした。
雷が落ちたのかもしれなかった。
あるいは、別の何かがあったのかもしれなかった。
分からなかった。
渡らなければならなかった。
向こう側へ行かなければならなかった。
体が、向こうへ向いていた。
土が、熱かった。
夏の日が、焼けた土に当たって、熱かった。
体が、熱かった。
速く這った。
できる限り速く這った。
途中で、止まった。
熱すぎた。
石を見つけた。
石の影に入った。
待った。
日が少し動くのを待った。
また、這った。
長かった。
野原は、長かった。
向こう側に、草があった。
草の匂いがした。
土の匂いがした。
着いた。
草の上に這い込んだ。
冷たかった。
草の陰は、冷たかった。
体を伸ばした。
休んだ。
どこへ向かっているか、分からなかった。
しかし、まだ向かっていた。
(第七話 了)




