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第五話「冬を越えた」
冬が来た。
体が動かなくなってきた。
深い場所を探した。
土の深いところ。
石の下の、深いところ。
見つけた。
大きな岩の下に、深い穴があった。
入った。
暗かった。
狭かった。
最初の記憶に似ていた。
しかし、今は一人だった。
眠った。
夢を見た。
夢の中に、何かがいた。
体だった。
自分ではない体だった。
温かかった。
目が覚めた。
春だった。
穴から出た。
光があった。
体が軽かった。
腹が減っていた。
這い始めた。
また、始まった。
どこへ向かうか、分からなかった。
しかし、体が向いた。
また、どこかへ向いた。
夢の中にいた温かさを、体が覚えていた。
(第五話 了)




