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鱗の唄――ある蛇の冒険  作者: Kentarou Tou / Kentarou Theater


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第四話「脱皮した」


ある日、体が重くなった。


目が曇った。


世界が、ぼやけた。



脱皮だった。


何度目かの脱皮だった。



しかし、今回は違った。


一人だった。


助けてくれるものが、いなかった。



石を探した。


角のある石を探した。


引っ掛けるための石を。



見つけた。


口の端を、石の角に引っ掛けた。


ゆっくりと、体を動かした。



皮が、めくれ始めた。


痛くはなかった。


しかし、時間がかかった。



途中で、止まった。


皮が、途中で引っかかった。



また、体を動かした。


石に押しつけた。


擦りつけた。



ゆっくりと、めくれた。



長い時間がかかった。


一人で、時間がかかった。



脱けた。


古い皮が、石の傍に残った。



目が、澄んだ。


世界が、はっきりした。


草の緑が、鮮やかだった。


土の色が、濃かった。



一人だった。


誰も見ていなかった。



それでも、脱けた。



(第四話 了)

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