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鱗の唄――ある蛇の冒険  作者: Kentarou Tou / Kentarou Theater


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第三話「川を渡った」


川があった。


大きな川だった。


向こう岸が見えなかった。



渡ろうとした。


なぜ渡ろうとしたか、分からない。


体が、向こうへ向いていた。



水に入った。


冷たかった。


流れが強かった。


体が、押し流された。



泳いだ。


体をくねらせて、泳いだ。


流れに逆らわなかった。


流れに乗りながら、斜めに向こうへ向かった。



途中で、何かが来た。


水の中から来た。


大きな魚だった。



体をくねらせた。


逃げた。


水の中を、逃げた。



魚は追ってきた。


速かった。



岩があった。


岩の間に入った。


魚が来られない隙間に入った。



待った。


魚が去るのを待った。



去った。


また泳いだ。



向こう岸に着いた。


草の上に這い上がった。



体を伸ばした。


息をした。



渡った。


川を渡った。



(第三話 了)

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