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歴代最強聖女、厄介ごとに巻き込まれたくないので 能力を隠して生きていきます  作者: 月代
第三章   聖光と、真実と、それでもお前がいい

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十二話 逃げなくていい場所

夜が明けた。


王都の北側の戦線は夜明けとともに騎士団が押し返し、魔物の群れは撤退した。避難勧告は解除され、街は少しずつ日常を取り戻していった。


私はレオンと一緒に、父と母のところへ向かった。二人は私の顔を見るなり安堵して、それから私の隣にいるレオンを見て、何も言わずに少し笑った。


……二人とも、何か言ってください。

その日の夕方、店に戻ってから、私は作業場で薬草の仕分けをした。いつもと変わらない作業だった。でも何かが違った。


窓から夕日が差し込んでいた。橙色の光が薬草の葉を照らしていた。


私はしばらく手を止めて、その光を見ていた。


前世では、窓から夕日を見る余裕もなかった。今世では、見ていたけれど一人だった。


今日は——一人じゃなかった。


……隠して生きることと、自分らしく生きることは、両立できないと思っていました。

でも、もしかしたら。

制度に縛られなくても、誰かに全部話せる場所があるなら。

逃げなくても、いいのかもしれない。

扉をノックする音がした。


「アリア、レオンさんが来てるよ」


母の声だった。


私は薬草を机に置いて、立ち上がった。


扉を開けたら、廊下にレオンが立っていた。手に薬草の束を持っていた。


「……何ですか、それ」


「採取してきた。種類が合ってるか見てくれ」


「副団長が薬草を採取するんですか」


「非番だった」


「非番の日に薬草採取ですか」


「悪いか」


悪くない。全然悪くない。


私は少し笑って、薬草を受け取った。


ちゃんと良いものを選んできていた。根の部分の香りも強い。きちんと勉強している。


……本当に、ずるい人です。

でも、好きです。

「合ってます。上出来です」


レオンが少し、本当に少しだけ、口の端を上げた。


私はそれを見て、また前を向いた。


夕日の色が、窓の向こうで深くなっていた。


――――◆――――


第四章へ続く

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