第24話 刺激的ビフォーアフター!人体大改造の舞!!
今まで書いてきた中で最悪のタイトルが出たし結構な難産だった。
夏休みに入ったので投稿ペースが上がると思いましたがターミネーターアーマー塗らなきゃなのでどっちにしろ投稿速度君はご臨の終でございやす。
あっ、今回なかなか強烈なので要注意かもです。
「────ふぅっ!!」
半歩踏み込んで放つ渾身の肘撃が打ち込み稽古用のダミー人形を大きく拉げさせて吹っ飛ばし、翼爪の一撃で真っ二つに引き裂く。
肺腑に呼気を取り込み、残身を解き。
「………うし、とりあえず問題はなさそうかな」
「マジで言ってますそれ?」
「マジマジ」
身体操作、重心移動、歩法、全て問題なし。
隻腕義足でなんか羽生えててオマケに吸血鬼になったわけだが、前世で体に叩き込んだ動作は問題なく通用した………というか、身体能力が跳ね上がって持て余し気味だった機動力が、翼をスタビライザー代わりに使う事でフル活用できるようになったし、翼自体もライフル弾程度なら弾けるくらいの強度は素であるし、形状も結構自由自在に変えられるから攻撃にも使えるしで、かなり便利なボディーになった。
………まぁ、残念ながら飛べはしなかったのだけれど。
日光やら流水やら弱点が多いのはちょっとアレだけど、ソレを差っ引いても爆アドなんてもんじゃない。
慢心する気はさらさらないが、流石に私の時代が来たんじゃなかろうか。
「………とゆーかお嬢様、いきなり羽が生えたにしては冷静ですよね。ひょっとして前世でも」
「ないない、普通のホモサピエンスだったよ」
「ほも………?」
「なんでいきなり羽生えたのかはわかんないけど、心当たりがないわけじゃないからね」
「………あっ、心当たりあるんですか?」
「一応ね」
リナがコップに次いでくれた水を飲み干して。
「ほら、昨日の晩御飯ドラゴンで焼き肉したでしょ?たぶんアレだと思う」
「それだと私たちも羽生えてないとおかしくないですか?」
「たぶんだけど、私とリナたちとの吸血鬼に対する認識の差じゃないかな?」
「認識の差、ですか?」
「私は前世で吸血鬼マニアやってたけど、リナもシオンもアヤメも吸血鬼ビギナーだからね。吸血鬼に対する情報量の差が原因だと考えたらしっくりくるんだよね」
「きゅうけつきまにあ」
魔法とは、イメージを現実に持ってくる術理だ。
本質的に本人の知識量や解釈に大きく左右される以上、私とリナたちとで差が出来ても不思議じゃない。
「吸血鬼になってから獅子猿とかナイトメアデス触手とかナイトメアデスタラバとか色々食べたけど腕が増えたり目が増えたりしなかったから、私が食べたものをコピーするピンクの悪魔になったわけじゃないのは間違いないんだよね」
「待ってくださいお嬢様。え?チキュウってそんなバケモノがいるんですか?」
「となると、ドラゴンを食べたのがトリガーだと思うんだけど、吸血鬼とドラゴンって結構な縁があってさ」
「………いくつか問い詰めたいことがありますが、いったん置いときます。で、なんなんです?その縁って」
「世界一有名な吸血鬼の名前の由来がドラゴン」
「………マですか?」
「マ」
竜の子公だからね、あの人。
「となると、それだけでお嬢様に羽が生えたってことですか?」
「たぶん。というかそれ以外に心当たりがないから、違ってたらなんか急に羽が生えたことになるし、それだけで生えたことにした方が精神衛生上都合がいい」
問題があること自体は問題ない、問題なのは、何もしてないのになぜか急に問題が解決した場合だ。
部屋の中に侵入したカメムシを見失った時ほど怖いことは存在しない。
どんだけ探しても見つかんないから外に出て行ったんだろうと無理矢理納得して布団にダイブインした瞬間ガチ恋距離にポップしやがるのだ!!
「………うん、ほんと、理由があるのとないのとじゃ精神的苦痛がダンチなのよ」
「はぁ………」
なんだか納得いってなさそうなリナはともかく、この件に関してはここらで掘るのをやめた方が精神に良さそうだ。
………しかし、そうか。
この体がどれだけ動けるかもわかった事だし、もうそろそろやるべきか。
正直、まっっったく気が進まないが、出来る備えはしておくべきだ。
「ねぇリナ。話変わるけどさ、ちょっと面倒ごと頼まれてくれないかな?」
「面倒ごと、ですか?」
「うん。準備ができるまで………そうだね、一週間くらいかな?ちょっとメンドクサイ仕事なんだけど、リナくらいしか頼める人がいなくてさ」
「それは構いませんが………何する気なんです?」
「ちょっと悪の改造人間になろうかなと」
「はぁ?」
「それじゃ、まずは前提から説明しようか」
「………あの、お嬢様?なんです、このやたらと物々しい設備。私なんだかすっごく嫌な予感がするんですけど」
一週間後、準備を終えた部屋に通して、何かに勘付いたらしいリナが頬っぺたヒクつかせて聞いてきた。
きわめて日本人的なジャパニーズスマイルで場を濁しつつ、後ろ手で部屋の鍵を閉め。
「私の創造魔法は物を作る魔法だけど、同じ創造でもいくつか種類があるの」
「そうなんですね。それはそうと今なんで部屋のカギ閉めたんですかお嬢様」
「1つ目が、既存の物質を材料に別の何かを創り出す魔法。私が造る武器は大体これだね」
「あのお嬢様、部屋の真ん中にあるの、どう見ても手術台ですよね?今から何する気なんですかお嬢様」
「2つ目が、魔術式を構築してオリジナルの魔法を作る魔法。《雷斧》とか、あとはだいぶイレギュラー寄りだけど吸血鬼に転化する魔法もそうだね」
「おじょ~さま~?無視しないでくださ~い?」
「そして3つ目が、魔法を物体に付呪する魔法。私が今一番力を入れてるのがこれなんだけど、最近ようやく解析が終わってさ」
「………解析、ですか?」
「うん。ちょっと見ててね」
わかりやすいように用意した、《堅牢》を付与した鉄の小板に、魔力を込め。
「ほら、これで見えるかな?」
「………紋様、ですか?薄っすらとですが」
渦巻きを重ねたような赤黒い紋様が、鉄板の表面で鈍く輝いていた。
「私がエンチャントした物体に魔力を流すと、こういう模様が浮き出るのに最近気づいてね。いろいろサンプル採って解析して実験して、エンチャントに応じて異なる模様が出来ることと、特殊なインクで直接模様を刻んでもエンチャントと同じ効果がつくことを発見してたんだよね」
「はぁ………」
「話がそれたけど、リナには私の改造手術を手伝ってほしくてさ」
「は?」
あらかじめ煮沸消毒しておいた手術道具を用意しながらそう言って、リナがちょっと見たことないくらい怖い顔になった。
「………脈絡もクソもありませんが、とりあえず、なんでそんな馬鹿なことしようと思ったのか教えてください」
「吸血鬼になってから、義肢の反応速度がちょっと満足いかなくてさ。義肢の接続面を調整するついでに私のボディにいろいろ埋め込んで強化しようと思って」
「必要ですか?」
「なかったら死ぬかも」
「安全性は?」
「パッチテストは終わってる。三日もあれば動けるようになるよ」
「………私が嫌だって言ったら?」
「その時は、面倒だけど自分でお腹裂いて手術かな。切腹は一回やったことあるし、たぶんどうにかなるよ」
「わっかりましたよ!!やりますよ!!やればいいんでしょう!?」
「ごめんね、迷惑かけて」
「まったくです!終わったら………えと、アレです!膝枕してもらいますからね!?」
「お安い御用で」
結構強引だったけど協力は取り付けたので、服を脱いで手術台に寝っ転がり。
「それじゃ、指示は出すからそこの筆でマーキングお願いね。あとは私が言うとおりに切って繋いで張ってもらったらオッケーだから」
「………あの、お嬢様、麻酔は?」
「麻酔掛けちゃったら指示出せないじゃん?」
「………ひょっとして、麻酔無しで開腹手術するおつもりで?」
「だいじょーぶだいじょーぶ、さっきも言ったけど自分のお腹の中身は一回見てるから」
「………もうツッコみませんからね?」
あきらめ顔のリナが机に用意しておいた筆を手に取るのを眺め、腹を括った。
「それじゃ、左足から始めようか」
「はい」
薄く縫合痕の残る左足に描いたガイドの先に、メスの刃先を埋める。
刃が薄い皮膚と脂肪層を裂き、筋繊維を切り断ち、骨に触れた硬質な感触。
止血していてもなお溢れ出る血を務めて無視して指先を滑らせ大腿骨から肉を剥離し、薄く桃色に色づいた骨に針を差し込んだ。
どす黒く妙に甘い匂いのするインクを充填した針先で、渦を巻くような紋章を刻んでいく。
「んっ………左足はコレでいいかな。縫合して、次は右足お願いね?」
「かしこまりました」
真っ赤な糸で傷口を縫い、保護用に膏薬を塗り、包帯で巻いて止血帯を解く。
血に塗れたメスを新しいものに取り換え、右足の中心線に沿って足の切断面まで切り目を入れ、肉を骨から剥がして紋章を刻む。
先と同じように、傷口を縫い合わせ、処置を施し。
「速いね、ちょっと慣れた?」
「その、右足の方が短いので」
「なるほどね」
「………あの、お嬢様、しゃべってて大丈夫なんですか?」
「まだ胸腔弄ってないし、喋ってた方が痛いのも誤魔化せるからね」
「さてはお嬢様やせ我慢してますね?」
「うん」
「………とりあえず、次どこ切ればいいか指示ください」
「じゃ、次はお腹をお願いしようかな。ライン通りに切開したら肋骨と肺と心臓と肝臓と子宮、小腸と大腸に紋章入れて、腹膜と腹筋にパッチを挿入して縫合。あとはさっきと同じようにしてね」
「………わかりました」
薄く膨らんだ胸から務めて意識を逸らして、正中線に沿って鼠径部まで、ちょうど死体にそうするように解剖する。
………いや、前にお嬢様が言ってた事が確かなら、今のお嬢様はアンデッド、ある意味死体そのものか。
妙なおかしさを覚えながら、腹部を切り開き。
赤に魅了された。
ドクドクと脈打つ臓物の赤。
上等のぶどう酒を思わせる鮮血の赤。
血の香りと恍惚の予感に快楽神経が軋む。
喉が猛烈に渇き、牙が疼き、飢餓感が溢れて下腹部が甘く蕩ける。
食欲と性欲をドロドロに溶かして甘ったるく煮詰めたような、酷く根源的な動物的欲求。
目眩がするほどの獣欲と獣性に、身を任せ
「………リナ?辛いなら私が自分でやるけど」
「っ、いえ、大丈夫、です。………やれます、問題なく」
柔らかく甘そうな子宮に牙を突き立てる寸前、手に持ったメスが落ちる硬質な金属音に意識が覚醒した。
狭窄していた視界が急速に広がり、頭に登っていた血が冷める、嫌な感覚。
バクンバクンとうるさく鼓動する心臓を抑え、火照った体の熱を飲み下す。
落としてしまったメスを、新しいものに取り替え。
「………大丈夫です、問題ありません」
マスク越しになぞった唇は、狼のような笑みを浮かべていた。
「う〜………いちち」
全身痛い、ピリピリする。
文字通り頭のテッペンからつま先………はないけど、お尻まで掻っ捌いて改造したんだから当たり前だけど、全身痛い。
むちゃ痛い。
吸血鬼になってから回復力馬鹿になったけど、それでも完治まで2日は掛かりそうだ。
痛むのを堪えて手を伸ばし、机の上の輸血パックを………
「りな〜?疲れてるとこゴメンだけど輸血パックとってくれな〜い?」
痛くて手が動かないのでリナに取って貰おうとして、返事がない。
横を見て、頬を紅潮させたリナが私をじっと見つめていた。
というか、なんか、目がこわ
「あの、リナ?私の声聞こえてる?そんなに疲れわぷっ!?」
なんか急に抱きしめられた。
首筋に息が当たってくすぐったい………というか、今私全裸な上に血塗れだから絵面がR18G方面でマズいというか、あれ、リナほんとどうしたの?
「ちょっ、リナ?爪食い込んで、痛いん、だけど………」
「フーッ、フー………ッ!」
「………リナさん?」
あれ?
コレなんかマズくないか?
ケダモノの目してるし、息めっちゃ荒いし、歯も普通の人間のソレじゃなくて肉食獣みたいなギザ歯になってるし、割とマジでマズくない?
いま逆シャン◯ス状態だから抵抗もできないし本気でマズくない?
「あむっ、んむっ、ぷふっ」
「ゃぁっ、んっ、このっ、舐めっんっ、なぁっ」
大型犬よろしく顔やら身体やら舐め回されて、腕一本だからまともに抵抗もできない。
………というか、なんか、だんだん妙な気分に
「えっちだ」
「えっちだ」
「っ!?」
ガチャリとドアノブが回る音にドアの方に目をやれば、いつぞやよろしくトーテムポールみたいに重なったシオンとアヤメがコッチを見ていた。
反論したいけど実際エッチな事になってるからチクショウ!!
「ちょっと、りな、2人もんっ、見てるから、いったん離れて!!」
首筋をカプカプ甘噛されながらも押し返し、リナがピタリと動きを留めた。
ギギギって感じのオノマトペが付きそうな動きで2人の方を見たリナの血塗れの顔が、一瞬で真っ赤に沸騰する。
数秒ほど、妙な沈黙が流れ
「あむっ」
「続行だと!?」
「がぶ」
「はむっ」
「ひゃんっ!?ちょっ、シオン、耳舐めるのやめて!アヤメも一旦離れて落ち着いて!!」
「………ひどいめにあった」
「その、申し訳ありません、お嬢様」
「ごめんちゃい」
「そーりー」
「別にいいよ、あんま気にしてないし」
動けないので手術台の上に寝っ転がって、双子の頭を撫でながら考える。
全身ヨダレと血液でベチャベチャで不愉快なのは事実だが、犬に噛まれたとでも思えばいい。
あちこち痛すぎてしばらく動けそうにないのも、よく食べて寝れば治る範囲だ。
問題は、
「突発的な興奮状態と強烈な飢餓感………多分だけど、大量に血を見たのが原因かな?」
吸血鬼になってから、睡眠欲が薄れて食欲が強くなっているのは自覚していたが、私の体が物理的に未発達なだけで性欲も普通に強くなっている可能性が浮上してきた。
というか、食欲………もとい吸血欲求と性欲が連動しているのか?
前世の吸血鬼でも吸血が性的行為のメタファーとして扱われる事は珍しくなかったし、普通にありうるなコレ。
いっぺん死ぬ前からそういう欲求は薄かったし転生してからはロリだしで検証のしようがないが、もしそうなら、最近リナの様子がおかしい事にも説明がつく………かも、しれない。
とりあえず、
「リナはしばらく血を飲むのは控えて、シオンとアヤメも飲む血の量を抑えて様子見、かな?」
「え~」
「ぶーぶー」
「………マジですか?」
「マジ」
あまり記憶ははっきりしていないが、私が暴走した時も大量に血肉を摂取した直後だったことを考えれば、この吸血欲求はシンプルにお腹一杯食べれば満たされるものでもなさそうだ。
それどころか、大量に摂取することで抑えが効かなくなる可能性すらある。
様子を見つつ、適切な量を見極める必要があるだろう。
とはいえ全く摂らなければそれはそれで頭パッパラパーになりかねない。
面倒な話だ。
………なんだか頭まで痛くなってきたので、痛む体を堪えてうつ伏せになり。
「シオン、アヤメ。ごめんだけど、体拭いてもらえるかな?あとパジャマも着せてくれたら嬉しいな」
「うぃ」
「らじゃ」
「それくらいなら私がやりますよ?」
「リナは手つきが卑猥だから却下」
「手つきが卑猥!?」
「うん、卑猥。出来ればちょっと出て行ってほしい」
「そんなぁ~………」
(´・ω・`)って感じの顔のリナがトボトボ部屋を出て、双子にタオルで全身擦り倒される。
重い瞼を閉じ、ふと、二人が来なかったらどうなっていたのか、考えてしまった。
全身を這い回る指先と、熱くぬめる舌の感触。
やたら煩く高鳴る私自身の心臓の鼓動と、金木犀の花のような甘ったるい香りに筋肉が強張る、あの感覚。
切り裂いたばかりの胎に火をつけられたような、全身が寒気だち脳髄が沸騰するような、えもいわれぬ高揚感。
もし、あれが続いていれば
「………にぃ、ジュジュにぃ?」
「お兄ちゃん?」
「っ!?」
至近距離、猫のような朱金色の眼が、私を見つめていた。
どっと全身に血流が巡る、嫌な感覚。
忘れていたのか詰めていた息を吐き。
「えと、なに?」
「顔まっか、だいじょうぶ?」
「あ、大丈夫。ちょっと考え事してただけだから」
「へいき?風邪ひいてない?」
「うん………ありがとね、アヤメ」
熱の籠った息を吐き、ゆっくり呼吸し、のぼせていた頭が冷えていく。
気合と根性で体を起こして
「………うん、もう大丈夫」
あの得体の知れない熱は、ひとまず忘れる事にした。
ちなみに、もし双子が好奇心に負けて部屋に入らなければジュジュは普通に百合乱暴されて続きはノクターン行きになっていました。
次回予告
私ジュジュ、ドクター・ゲ〇の手によって人造人間ハカ〇ダーとして生まれ変わったの!
元気一杯悪辣無道人面獣心獰悪狂猛絶賛ジェノサイド中だったんだけど、頭の中に爆弾を仕込まれちゃった!
爆弾を解除するカギの持ち主はまさかのあの人!?
悲しいけど、私が生き残るためだもの!!
次回 魔法幼女☆アナイアレイタージュジュ
第666話「レッツゴー親殺し(通算4度目)」
ぜってぇ見てくれよな!!




