8等星
帰り道、川沿いの堤防を夕日のオレンジをあびながら考える。殺してと言う2人。2人の真剣な表情を思い浮かべる。冗談を言っている訳ではないようだ。そうこうしている内に家に着いたようだ。木ノ下ライジングタワー。この街の一番大きい建物。そこの最上階、67階がナツの家だ。ガチャ。ナツは玄関のドアを開ける。入ってすぐのリビングには大きなガラス窓があり、木ノ下町のすべてが見渡せる。ナツは壁のスイッチを押し大きなガラス窓にカーテンがかかる。家には誰もいない。母親は世界中で活躍する超有名デザイナーで世界を飛び回っており家にはいつもいない。この木ノ下ライジングタワーもナツの母親がデザインして建てた。中学まではお手伝いさんを雇っていたが高校生になる時ナツの要望で雇うのをやめた。ナツは制服を着替えることもなく寝室のベッドにダイブしまた考える。
ピリリリリリ、ピリリリリリ。ナツのズボンのポケットに入れっぱなしだった携帯が鳴っている。いつの間にか寝てしまっていたみたいだ。携帯の画面を見る。ユウキからの電話だ。
「おーい、ナツー。今日予定あるかぁ?」
ユウキの電話越しの大きな声が寝起きの頭に響きしかめっ面になってしまう。
「うるせーよ。こんな夜中になんだよ。」
「夜中?もうすぐ昼だぜ?寝ぼけてんのか?」
ユウキの言葉でベッド横の時計をすぐさま見る。ほんとだ。もうお昼になる時間だ。長いこと寝ていたみたいだ。
「それで、ナツ、今日花火大会だろ?ユイちゃんも誘って一緒に行くぞ。それじゃライジングタワー前に集合な。」
それだけ言い、電話は切れた。
俺はなぜかわからないが、イノリに電話をかけていた。
「もしもし。」
か細い声が聞こえた。イノリの声だ。
「今日、花火大会一緒に行かない?ユウキとユイもいるんだけど。」
イノリは少し黙ったあと
「わかりました。」
と言ってくれた。
「ほんと?ライジングタワー前集合だから。またね」
と言って電話を切る。なんで俺、イノリのこと誘ったんだろ。自分でも不思議だった。それから約束の夕方まで風呂に入ったりいろいろ準備をしてライジングタワー前に向かう。
フィクションだってば。




