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ORION  作者: 烏龍 茶
5/9

5等星

夕日をバックに二人で校門をでる。どうやら家の方向は同じみたいだ。

「今日は晴れて良かったね。ここ最近雨ばっかりだったから。ほんと、梅雨って嫌い。」

俺の半歩分くらい先を歩きながらユイは言う。

「久しぶりだね。ナツとちゃんと話すの。あの日以来か。」

俺は黙って、ユイの後ろを歩く。ふいにユイが後ろを振り返る。

「ねぇ、ナツ。」

ユイは真剣な顔で俺を見る。

「あたし、今年中に死のうと思ってるんだよね。」

ユイが何を言っているのか分からなかった。

「ちょっと、そこの公園で話そ?」

二人で公園のベンチに座る。俺たちの他には誰もいなかった。ユイはカバンから緑のパッケージの箱を取り出すと、一本抜き取り火を点ける。俺もブレザーの内ポケットから取り出し、火を点ける。

「スー、ハー。」

「いきなりでびっくりしたよね。まだいつかは決めてないんだけどね。」

ユイは笑いながら言う。

「だからさ、今年一年あたしの楽しみに付き合ってよ。」

いきなり言われても意味が分からなかった。

「拒否権はありませーん。じゃないとあのことバラしちゃうよ。」

ユイはイタズラな笑みを見せる。それはユイにとっても都合が悪いのではないか。

「ん。」

ユイは携帯型の袋を差し出す。なるほど終わった後のこれを入れるやつか。ありがたく捨てさせてもらう。

「あのね。」

ユイは長袖の制服の袖をまくる。ユイの細いうでには痛々しい傷やアザの痕が所々あった。初めて会った日、ユイの胸元に見えたアザは見間違いではなかったようだ。この分だと身体中がアザだらけなのだろう。

「うちのお父さん、酔ったら人が変わるの。家族に暴力振るうのもしょっちゅう。そのせいでお母さん、出て行っちゃったの。ずるいよねー、あたしも連れてってくれれば良かったのに。それからお父さんもよくお酒飲むようになって、休みの日なんか朝から飲んでるんだよ?気に食わないことあるとすぐ暴力振るうし。ほんと最悪。だからもう死んでやろうと思って。」

ユイの目にはうっすら涙が浮かんでいた。

俺は何も言えなかった。

「じゃあ明日から決行ね。あたしに最高の一年をプレゼントすること。」

ユイは笑顔でそう言った。それから家に帰ったまでのことは覚えていない。


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