2等星
俺の向かった先は隣の特別棟の校舎裏、職員駐車場だった。それは名ばかりで先生たちはみんな表の駐車場に停めているのでここに人が来ることはまずない。俺はいつものように赤いパッケージの小さな箱から一本取り出し口にくわえ火をつける。
「スー、ハー。」
白くて臭い煙が口から出ては外の空気とあっという間に同化していく。父がヘビースモーカーのおかげで家には大量に置いてあり、そこからひとつ減ったくらいじゃバカ親父は気づくはずもない。俺は短くなったそれを地面にこすりつけ排水溝の穴に落とす。そろそろ戻るか。帰りに息すっきりタブレットの粒を2、3粒口に投げ入れ、トイレで入念に手を洗って教室に戻る。
「以上で、委員会決めを終わります。」
中田香菜の合図で一時間目が終わり教室は騒がしくなっていた。俺は決定したと言われる委員会が書いてある黒板に目を移す。目にかかる前髪のせいでよく見えない、俺はそれを左に流し、視界を明るくする。
図書委員会
水谷祈李
村倉唯
村田懐
どうやら俺は図書委員らしい。
「ムラタ君」
俺は声の方を向く。声の主は中田香菜だった。
「勝手に図書委員にしちゃったけど、良かった?図書委員は放課後に仕事があるから部活入ってないムラタ君が適任だと思って、ほら、他の水谷さんもユイちゃんも帰宅部だし。」
「別に、何でもいいよ。」
俺は答えた。
「そう、なら良かった。さっそくだけど今日うちの担当みたいだから放課後、図書室に行ってね。」
そう言うと中田香菜はさっそうと行ってしまった。
その後、くだらない授業をいかにも聞いているふうに過ごし、放課後となった。図書室に行く前にと思い、いつもの特別棟の裏に向かう、たどり着くとそこはいつもとは少し違っていた。誰かいる。校舎の角に隠れてひっそりと隠れ見る。女子だ。肩に掛かるくらいの長さの綺麗な茶髪の女の子が座っている。でもそれ以上はわからない。俺は引き返そうとした。すると彼女はこちらに気づいたらしく、
「ちょっと待って。」
俺は条件反射で振り向いてしまう。
すると彼女の口には見慣れたものが
「なんで帰るのよ。もしかして切らしたの?ほら、一本あげる。」
そして彼女は俺に一本手渡す。
「あ、ありがとう。」
それは俺のいつもの赤いパッケージのものではなく、緑のパッケージのメンソールと言われるものだった。正直メンソールはあまり好きではなかったのだがせっかく頂いたのだ、ありがたく火を点けるとする。
「スー、ハー。」
いつもより多めの白くて臭い煙が二つの口から放たれ、やっぱり一瞬で外の空気と同化する。
フィクションですよ。




