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土日は3話公開です。

翌朝。


キールの情報をもとに、エルディアとラスティはドラコニスで竜岩石のある竜の棲む丘に向かった。


数十分かけて到着したその場所で見上げた岩は予想よりはるかに大きかった。

言われてみれば竜の形をしているような気もする。


「……確かに竜に見えなくもないけど、それだけね?」


「岩だな……。というか、他になんにもねぇな、ここ」


大きな岩をただ見上げていてもしょうがないので、周りを一応調べてみるがこれといった目立つものもない。


「考えてみたら、神殿っていったってどんなものなのかも分からないんだよね」


「確かにな。跡地なのか遺跡なのかも分からねぇし……」


そもそも、よく思い出してみれば、ジーンからも村の方に行ってみろと言われただけで具体的な情報は何もなかった。

なんとなく「行けば分かる」という雰囲気をジーンが出していたので、勝手に2人がそんなものかと思ってしまっただけだ。


「やば! 情報足りなすぎじゃん」


「今、言うなよ」


これまで比較的、順調に目的に辿り着いていたので完全に油断していた。

その場所にさえ行けばなにかが分かるだろうという甘い気持ちもあった。


「だめだ! 情報取り直そう。ブルーベルのおじいちゃんの話は有益だったけど、神殿についての話は全くなかったじゃん」


「……確かにな」


キールの話では先代の竜騎士のイメージが鮮明になっただけだということに、今さらのように気が付いてエルディアががっくりと肩を落とした。


「いや、怪しい場所が1つ候補から外れたんだ、全く無意味ってわけじゃないだろ」


「うう、あんたに慰められるようじゃ、あたしもおしまいだわ」


「なんなんだ、おまえは」


ショックを受けてるらしいから励ましてやったのに、全くかわいげがない。

ラスティは眉間にしわを寄せて不満そうに鼻を鳴らした。

エルディアはそれを無視して止めていたドラコニスにまたがる。


「とにかく、今度は『神殿』のほうに絞って情報を集めよう」


「どうやってだよ?」


「ジャンポネイルの薬屋が、昔、この村の薬師たちは薬草を修道女たちと集めてたって言ってたでしょ?」


エルディアは以前、話した薬屋の少女の話を思い出していた。

少女の話では昔話だったが、この村で今も薬草に詳しい人物なら修道女や修道女たちが働いていた神殿について何か知っているかもしれない。


「あー……言っていたな、そんなこと」


「とにかくブルーベルのおじいちゃんに、そういう人がいないか聞いてみよう」


他に手がかりもないので、ラスティは小さく頷いて同意した。

半日もかからずに振り出しに戻ったことは残念だが仕方ない。


ふと、竜の形の岩を見上げる。


過去の落雷の激しさを示すような、荒々しく削れた岩だった。

元が山だったことを考えると、その威力の大きさが窺い知れる。


(想像のつかないほどの威力だな……竜の力というのは)


これから自分が得ようとしている力の大きさを見せつけられて、ラスティの背筋が僅かに震えた。


「どうしたの?」


黙り込んだラスティにエルディアが声をかける。

その声に我に返ったラスティは首を振る。


「なんでもねぇよ。出していいぞ」


「そう? じゃあ、行くよ」


こうして2人は再びサンダクラプ村に戻ってきたのだった。

午前中を無駄にした感が半端ないので、エルディアはさっさとキールのもとに向かう。


キールは今日も子どもたちに物語を聞かせていた。

さすがに子どもの楽しみを邪魔するのも気が引けたので、話し終わるまで待つことにする。

ラスティはせっかちに動くエルディアを宥めるように手を引いた。


「落ち着け。1つ空振りに終わっただけだ」


「分かってるよ。分かってるけどさ……」


「焦ってもしょうがないだろ」


ラスティが静かにエルディアを見上げた。

その琥珀色の目に吸い込まれるように、エルディアの動きが止まる。

じっと見つめられてそわそわと落ち着かなくなるが、焦燥感は薄れていく。


エルディアは大きく息を吸い込み、ゆっくりと吐き出した。


「そうだね。焦ってもしょうがない……」


「だろう? じいさんの話はまだ終わりそうもないし、昼食でもとって待ってようぜ?」


「……ああ、確かに。お腹、すいたもんね?」


唇を引き上げるラスティに、エルディアは苦笑した。

まるで飼いならされた犬のような気分だ。


(こいつにコントロールされてるようじゃ、本当におしまいだわ)


不快なわけではないが、悔しいような照れくさいような気持ちになったのを隠すようにエルディアは大股で歩き出した。



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