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土日は3話公開です。
ソファーにゆったり寛ぐラスティとは対照的に、エルディアは警戒したままだった。
サイドテーブルにセットされている椅子をラスティの座るソファーの正面に移動させ、エルディアはそこに腰を下ろした。
ラスティはぽんぽんと自分の隣を叩いて、それはそれは良い笑顔でエルディアに笑いかけた。
「いつもみたいに隣に座れば良いじゃないか?」
「なんでよ!」
「なんでだ?」
エルディアの警戒心は敵意からではなく、混乱からだと分かっているので、ラスティは面白そうにそれを眺めた。
(ざまぁみろ)
薄く唇を引き上げると、その態度が気に障ったのかエルディアのこめかみがピクリと動いた。
「随分と余裕ね。こうなるって知ってたの?」
「まさか。そんなわけないだろ、俺とおまえの情報量は同じだ」
そう。同じはずだ。
それなのに目の前の男が余裕綽々でいるのが、エルディアは気に入らない。
自分だけが動揺している。
「そのわりには落ち着きすぎじゃない? あんなにちびっ子のかわいこちゃんだったくせに」
エルディア自身の動揺を隠そうとしているのか、珍しく感情的になっている。
ラスティはすっと体を前に傾けるとエルディアに手を伸ばした。
その顎に指が触れる。
エルディアの肩が微かに揺れた。
「なに言ってんだ。今はおまえの方が小さいし……」
そのままラスティは数センチの場所でその夕焼け色の目を覗き込んだ。
小さく息をのんだエルディアを逃さないように指先を固定して目を細めた。
「おまえの方が可愛いよ?」
「!!!」
ガタン……!!
思わず腰を浮かせた瞬間、エルディアの座っていた椅子が大きな音を立てて倒れた。
エルディアは言葉を発することもできずに口をパクパクさせている。
その様子をラスティは満足そうに見つめた。
「散々、おまえが俺にしてきた距離感だぞ。今さら動揺するなよ」
「な、なんてかわいくないの!!!!」
わざと揶揄うように肩をすくめ、喉をクツクツと鳴らすと、エルディアは顔を真っ赤にして噛みついてきた。
やや腰が引けているので、それなりにダメージを与えることはできたようだ。
ラスティはそのまま、すっとソファーから立ち上がるとエルディアの腕を掴み、引き寄せた。
「な、なに!!」
「寝るぞ」
「はぁぁぁ!?」
そのままベッドに向かおうとするのでエルディアが慌ててその手を振り払った。
ラスティは不思議そうな顔でエルディアに首をかしげてみせる。
だが、その目がいたずらっぽく細められているのをエルディアは見逃していない。
「なんで、あたしまで連れて行くのよ!」
「明日はもう出かけるんだぞ。寝るべきだろ?」
「あたし、ソファーでいいよ」
いつかの夜のようだった。
ただしあの時とは主張が逆転している。
「お、王族をソファーで寝かせるわけにはいかないでしょ!」
「ベッドがあるのに女性をソファーで寝かせるなんてできるわけないだろう?」
「だからって、なんで一緒に寝ることになるのよ!」
エルディアは頑張って主張するが、ラスティにとっては「だからなんだ」という話だ。その話ならもう何度も繰り返したし、それでも引かなかったのはエルディアだ。
今さらもう遅いと、ラスティは全く聞き耳を持たない。
「一緒に寝るか、俺がソファーで寝るかの二択だ」
「だから、なんで……」
「大人が2人寝たって余裕ありそうなベッドだからだろう? わざわざソファーで寝る意味が分からないっておまえが言ったんだ。いまから3つ数える間に決めろ」
エルディアが言った通りの言葉でラスティが話をまとめにかかる。
「だからって……!!」
「いーち」
「あたしの話を聞け!!」
「にー」
「ちょっと!!」
「さん! よし、一緒に寝るな?」
エルディアが何を言っても全く聞く気のないラスティは、そのままエルディアを抱き上げるとベッドに放り込んだ。
「待ってってば!!」
「もう決定だ。おまえはこのまま俺と寝るんだよ。おやすみ」
エルディアが声にならない悲鳴を上げた。
そしてラスティがせっせと集めたベッドの上のクッションを、ラスティと自分の間にずらりと並べた。
こんなものでも無いよりましだ。
「絶対こっちに入ってこないでよ!!」
すっきり丸ごと全部やり返したことに満足して、ラスティは声を上げて笑った。
エルディアが恨めしそうな目で見てくるので、にんまりと唇を引き上げた。
「子守唄も歌ってやろうか? 落ち着くかもしれないぞ?」
「いらないわよ!!!」
エルディアの声が部屋に響いた。




