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土日は3話公開です。
「こいつはあたしの相棒、ドラコニス・マークII!あたしが手塩に掛けてカスタマイズした魔導二輪だよ!」
タンクのメタリックな輝きとむき出しの動力源、美しく束ねられた洗練されたパイプの導線。
エルディアは嬉しそうに魔導二輪のシートに手を置き胸を張った。
そして、ラスティに口を挟む隙を与えずに一気に畳み掛ける。
「グリップとレバーの位置はあたしの手に合わせて調整、魔鉱石によるエネルギー排出量の増幅のための魔力効率変換器を追加して長距離移動を可能とし、さらにサスペンションも改良した悪路にも対応できる完璧なボディ!よく見なさい、この研ぎ澄まされたお洒落で洗練されたドラコニス・マークIIを!!」
ベルクは生ぬるい目で娘を見守り、ラスティは専門用語の羅列に目を瞬かせる。
(全然意味が分からねぇ…)
マニア特有の面倒くささを感じて、ベルクの方に視線を投げた。
ベルクはゆるゆると首を振る。
「こうなったエルディアは自分が納得するまで喋り続ける…しばらく我慢するしかありませんよ」
明らかに興味の無い顔で、ラスティはうへぇと眉を下げた。
「ちょっと、あんた!聞いてる!?」
「酔っぱらいなみに面倒くさいな、おまえ…」
気持ちよく自分のマシンを紹介しているのにいまいち食い付きが悪い。
エルディアは不満そうな顔でため息を吐いた。
「お子さまには、ドラコニスのスマートな大人の魅力は早かったか…」
残念そうに首を振られて、ラスティはカチンとする。
そのまま開いた口からは必要以上に攻撃的な言葉が溢れた。
「たかが乗り物に大袈裟すぎるだろ、アホか!」
「たかが?」
エルディアの夕焼け色の目が剣呑にラスティを捉えた。
その目を見るまでもなく、ラスティはこの対応がうまくないことには気が付いていた。
だが、頭では分かっているのに言葉が刺々しくなるのを止められずエルディアから目を反らした。
「やだわぁー、こいつの良さが分からないお子さまとお出掛け!デートの邪魔されるみたいに気分悪い!」
「デートなら2人きりでやれよ。俺だっておまえがデートだっていうなら、邪魔なんかしねぇよ!」
エルディアが、いかにもラスティを邪魔者のように扱うので、思わず強く言い返した。
「エルディア…」
加速しそうな言い争いを止めたのはベルクだった。
「仕事に支障が出るようなことをするな。おまえは半人前なのか?」
「…ぐっ、親父……」
エルディアの愛車への思いは理解するが、感情的になりすぎだ。
自分の態度に思うところはあったのか、エルディアは言葉に詰まった。
ベルクはラスティに向かって頭を下げる。
「すみませんね?うちの半人前が…」
「…別に。俺も大人げなかったし」
素直に謝られるとばつが悪い。
落ち着きを取り戻すと、エルディアの態度どうこうより、ラスティ自身の子どもじみた行動が恥ずかしくなった。
(あんな言い方をする必要はなかったのに…)
普段の自分だったら、もっと適当に流していた。
体が幼くなっただけなのに、心まで幼くなったようで居たたまれない。
「…分かりますよ。エルディアのドラコニスはちょっと線が細すぎる…。そう、男の浪漫ってやつは、こいつにこそ相応しい!!」
気付けばベルクは自分の魔導二輪を撫でていた。
「な!?男なら、やっぱり俺の怒羅怒羅スペシャルの方が良いだろう!?」
「あんた、趣味最悪ね!!」
自慢げなベルクと、的はずれな罵倒にラスティは先ほどまでの殊勝な反省を吹き飛ばした。
「乗り物にそんな思い入れが、あるわけないだろ!!」
ラスティはカシスウェル父娘2人からの残念そうな顔を睨み付ける。
そして自分の感性はおかしくないと自らに言い聞かせるように怒鳴り声をあげた。
「浪漫がねぇなぁ…」
「お子さまなのよ」
ラスティの怒りは2人に届くことはなかったが、ラスティはこのことから強く学んだ。
(コイツらに遠慮する必要は、絶っっ対に、ない!!!)
旅をする上で重要な気付きを、早い段階で得られたことだけが、唯一ラスティにとって良かったことであろう。
「王家の運び屋」メモ:
ドラコニス・マークⅡ(魔導二輪)
・イメージはネイキッドバイク。エネルギーは魔鉱石からの魔力
・エルディアの愛車。カスタマイズしまくり。
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