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土日は3話公開です。
「そこでよく見てろ! 俺が小さな子どもじゃないことを分からせてやる」
剣を一振りすると、ラスティはもう一度構え直した。
手にした竜剣はバチバチと放電しっぱなしだが不思議と痛みは感じない。
(そういえば、この門に入る前から体がびりびりしていたな……)
手になじむ剣を見つめてそんなことを思い出した。
ずっと微かにしびれがあったのだが、続きすぎて体が慣れてしまったのだろうか。
すっかり気にならなくなっていた。
柄の部分に不自然なくぼみが4か所あるその剣は、小さな雷をまとっているようだった。
剣にばかり気が行っていたが、ふと、防具もよく馴染んだものであることに気が付く。
自分の格好に目を落とす。
「王国騎士団の装備か……」
白銀の鎧に濃紺の腰布。
胸当てや肩当てには繊細な金の装飾が施されている。
そしてその胸元に輝くのは王国騎士団のエンブレム。
「君にふさわしい装いだろう?」
ジーンが自慢げに話しかけた。
その隣で、顔を赤くしていたエルディアはまだ落ち着きを取り戻せずに、八つ当たりのような大声を出した。
「あれが王国騎士団の装備なの!? なんで、あんなに、綺羅綺羅しいのよ!!」
「おや、王子さまのようで美しいではないか」
「王弟殿下さまだっつーの!!」
2人のやり取りでラスティは、ふむ、と頷いた。
満月のときに宿でも感じていたが……。
(少なくとも、俺の見た目はお眼鏡にかなってるってことだな)
運び屋なんて男臭い連中しかいないような職場だろうから、免疫がないだけかもしれないが。そういう事情は考慮せずに、ラスティは都合良く解釈することにした。
それとは別に、これから始まるだろう戦闘には、馴染んだ防具の方がやりやすいことは確かだ。
「これは、俺の防具だな?」
「勿論だよ。分かっているのだろう?」
「念のための確認だ」
身に纏った感覚は間違いないが、人外のすることだ。実は幻影だった、ということもあり得る。
「『安全面への配慮』だよ。君たちは本当に文句が多いからね」
「あんた、あたしたちが門に入ったときからあたしたちの話を聞いてたわね!!」
会話を盗み聞きされていたと気がついたエルディアが、またジーンに噛みついた。
「いきなり体が大きくなって、身に纏うものが破れてしまったら、困るだろう?」
「そんなことになったら、変態だわ!!」
「じゃあ、素直に感謝してくれたらいいじゃないか?」
どうやらエルディアたちの反応が思っているものと違ったらしい。
ジーンが初めて微笑みを消して、不満そうな顔をした。
「感謝することより、迷惑な仕様の方が多いのよ! 感謝なんかできるか!!」
エルディアの言っていることを、ジーンが理解できたかは不明である。
広場の外で言い争う2人を尻目にラスティは軽く防具の確認をして、もう一度、剣を構えた。
「なんだか分からないが、もう始めていいぞ」
「そうなのかい?」
「説明くらいしてよ! あんたも説明くらい聞きなさいよ!!」
さっさと開始しようとするラスティとジーンをエルディアが止めた。
2人は円の中と外で顔を見合わせたが、まるでエルディアに聞かせるように話を続けた。
「君の過保護な付き添いのために説明するが……」
「悪いな。俺の過保護なツレのために頼むよ」
「なんであたしのせいなのよ!!」
その適当なやり取りにエルディアは心外だと叫んだ。
連続して大声を出しすぎたせいで息も荒くなる。
「その闘技場に描かれた六芒星のそれぞれの頂点から6体の魔物が現れるから、それを倒してくれたまえ」
「……分かった」
ぜいぜいと息を切らしていたエルディアは、今度はその内容に目を剥いた。
魔物6体!!!!
「あほー!!!! 相手にできるか、そんなもん!!」
絶叫するエルディアにラスティはふんと顎を上げて、好戦的に目を細めた。
「そこで黙って見てろって言ってるだろう?」
そう言ったラスティの琥珀色の目の奥で瞳孔が縦に開いた。
どん!!!!
その瞬間、魔法陣の突き出た6つの先端に稲妻が落ちて、闘技場に描かれた六芒星の各頂点に、ぬらりと6体の魔物が現れた。
「もう、最悪だわ!!!!」
エルディアの声はもはや悲鳴となっていた。




