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「なに、あれ? 怖すぎるんだけど」
「一応、通り抜けるまでは待ってくれたってことじゃねぇの?」
うっかり自分たちごと消し去りそうな仕様にエルディアは戦慄した。
「あいつら、安全面への配慮はちゃんとできてるんでしょうね」
「期待するなよ……そんなもんがあるわけねぇだろ」
エルディアがぐちぐちと文句を言う隣で、ラスティは両手を広げて首を振った。
立ち止まっていても仕方ない。
ラスティは門のあった場所に背を向ける。ラスティにつられるように、エルディアも前を向いた。
2人の視線の先に闘技場のような広場が見える。
「道がこれしかなくて、アレ以外のものがないってことは、あそこに行けってことだよね?」
「だろうな」
円形の広場はエルディアの腰の高さほどの低い壁にぐるりと囲まれていた。
エルディアはその壁沿いにドラコニスを停める。そして、2人でその円形広場を覗きこんだ。
横からでは分かりにくいが、地面には幾何学模様が描かれている。
ラスティがそれに気がつき呟いた。
「あれは……六芒星か?」
「六芒星?」
「神聖幾何学模様だ。呪術なんかによく使われるんだよ……」
なんだって、そんなものが?
ラスティは慎重にその広場を観察する。
円の中いっぱいに描かれたそれは、大きな魔法陣のようでもあった。
「呪術って『呪い』とか、そういうやつ?」
エルディアが気味悪そうに首をかしげるので、ラスティは少し考えてから、安心させるようにエルディアを見上げた。
「古い伝承の域を出ないやつだよ。子どもの『おまじない』と大差ない」
「ええー……。今、まさに、その古い伝承であたしたち、ここにいるんじゃん」
「ん? そういや、そうだったな。気休めにはならなかったか?」
エルディアが腕をさすると、ラスティは悪びれもせずにあっさりと意見を取り下げた。
「ちょっとー。安心させるならちゃんとやってよ!」
「はいはい、安心しろよ。大丈夫だ、おまえみたいなのは呪術の方が避けてくれるよ」
「なんて雑なの!やるならちゃんとやれって言ってんの!!」
適当に相槌を打つラスティにエルディアが噛みついた。
「面倒なやつだな。子守唄でも歌ってろよ」
「かわいくない! さらに適当になってるじゃないの!!」
その時、広場の中心に風が巻き起こった。その風に巻き上げられて、無数の花びらが舞う。
「わぁっ!!」
「な、なんだ!?」
唐突な花吹雪に2人が身構えた。
こんな登場の仕方をするやつは一人しかいない。
「やあ。5日ぶりくらいかな?」
現れた占い師ジーンの姿を確認すると、エルディアは嫌味っぽく唇を引き上げた。
「そうね、1週間もたってないわ。お久しぶりにしては、ずいぶん早い再会よ?」




