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土日は3話公開です。
案の定、その後に我に返ったエルディアは狼狽えまくり、ラスティがそれを鼻で笑ったことで、さらにひと悶着あった。
それでも、どうにか食事と風呂を終えてそのままベッドに入ったのだった。
翌朝。
……窓から差し込む朝日が眩しい。
ベッドでごろりと寝返りを打つと、ラスティはうっすらと瞼を上げてとなりのベッドを確認する。
きちんと整えられたベッドは空のようだ。
(やっぱり、あいつ、ニワトリだな……)
ぼんやりとそんなことを考えながら、ラスティは上体を起こした。
きっと朝食の調達に行っているのだろう。エルディアが帰ってくる前に身支度をすませておく。
着替え終わったところで、エルディアが戻ってきた。
「お、今日はちゃんと着替え終わってるのね」
「当たり前だろう」
ふんと顎をあげると、エルディアは買ってきた軽食を並べながら笑う。
「当たり前だって! いつもだいたい寝起きの癖に、よく言うわ」
「いつもはいつも、今日は今日だ」
「いよいよ、ふてぶてしくなってきたわね」
軽口の応酬の合間に朝食をすませると、エルディアはテーブルを片付けて地図を広げた。
「昨日言ってた通り、今日はここに行ってみよう」
「薬草の群生地だったな?」
「うん。一応ほかの人にも聞いてみたけど、基本的には薬師しか行かないところみたいだったわ」
朝、屋台を巡りながら世間話をするのは既にエルディアのルーティンに組み込まれている。
何人か顔見知りになった村人に確認してみたが、ほとんどが同じ反応だった。
「そんなところ、用事でもなきゃ行かないよ」
口を揃えてそう言って笑い、古い建物のようなものについてもあまり知られていなかった。
「てことは、村でもごく一部の人間しか知らない場所なんだな」
「まあ、お薬の原材料には興味ないよね、普通」
「人の出入りが頻繁じゃないなら、今から行っても、誰かの邪魔をしてしまう心配もねぇな」
2人は顔を見合わせて頷いた。
すぐにでもその場所に向かうことにする。
「竜の棲む丘」よりは村に近く、薬師たちが頑張れば歩いていけるような場所だ。
「ちょっと距離はあるけど、歩いていける?」
「魔導二輪だと踏み潰すかもしれないしな」
「失礼な。あたしのドラコニスは紳士だからそんなことはしませんー」
相変わらずエルディアはドラコニスを擬人化することをやめない。
「さぁ、どうだか」
ラスティはそれを鼻で笑って、もう一度地図に目を落とした。
地図の縮尺を考えても30分から40分くらいというところだろう。
「大丈夫だ。問題ない」
「オッケー。じゃあ、歩いていこう」
エルディアは地図を畳んで荷袋に突っ込んだ。水や非常食がちらりと袋の口から見えた。
「疲れたらすぐ言うんだよ?」
「分かってる。こんなところでアホみたいな意地は張らねぇよ」
「さぁ、どうだか!」
ラスティと同じ言葉で言い返してエルディアは荷物を背負った。
そして、ラスティに手を差し出した。
繋げということだろう。
いい加減に、これにも慣れてきたので黙ってその手を握ろうとして、ふとエルディアの指貫きグローブに触れてみた。
「なに?」
「そういや、おまえの手の甲の紋章は、今のところなんの反応もなしだな?」
「……? そうね、全然なにもないけど?」
それがどうしたのかと首をかしげるエルディアの視線を無視して、ラスティはその手を見つめた。
(確か、紋章とペンダントも必要だとか言ってたな……)
そのまま、ジーンの言葉を思い出して唇を引き結ぶ。
いつ、どこで必要になるのか分からない。だが、必要だと言うからには、場所の特定か、竜との対面に必要なのではないか。
「竜騎士になるのは俺だから、竜が俺の資質を問う……それは俺がいるだけで事足りる」
「なに? どうしたの?」
「おまえの紋章とペンダントは場所の特定にこそ必要なんじゃないか?」
ペンダントと紋章は運び屋に引き継がれているのだから、運び屋の役割を果たすためのアイテムだと考えるのが妥当だ。
「なんてこと! なんか頭良さそうなこと考えてるわ!」
「おまえ、俺をバカにしてるだろ……」
「なんでよ、感心したのに」
エルディアのおどけた態度にムッとして眉を寄せると、ラスティは不機嫌そうにエルディアの手を握った。




