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国基研ろんだん

 国基研ろんだん

https://jinf.jp/feedback

というウェブサイトからNHKに関する記事を拾い読みした。

 改めてNHKは人類の敵だと実感した。


2014.09.05 (金)

人災を引き起こす朝日、NHK 石崎青也(元アラビア石油役員)

 隣国二国からは、反日キャンペーンが飽くことなく繰り返されている。隣国のメディアの支局かと見間違えるほど増長しているのが国内三大メディアの朝日新聞、毎日新聞、並びにNHKである。先の「慰安婦問題」について朝日新聞は謝罪もなく、誤報でもなく、「誤用」であったと言い訳検証を掲載した。朝日はまさに曲学阿世の徒の集まりであることが明確になった。NHKも相も変わらず偏向報道まっしぐらである。これらの誤報、偏向報道は国内ばかりでなく国際的にも日本の国益を著しく毀損せしめており、断じて許されるべきものではない。

 これらは、広島の山崩れと違い、あくまで人災である。メディア自身が歴史の事実、真実を検証し、過去の報道に対し反省と謝罪を表明すべき責任がある。もしその意志がないなら、第三者機関なり真っ当なメディアより反論、反証を逐次展開していただきたい。

 「言論の自由」、「報道の自由」だけが民主主義の旗印であると思われているならば勘違いも甚だしい。朝日新聞はいずれ廃刊に追い込まれるであろう。視聴者の立場からの要望事項としてNHKは、今後スポーツ中継、芸術文化、自然をテーマにしたドキュメンタリー番組の放送に限定し、政治、原発問題等ニュース、社会報道を除外する行政指導(言論統制ではない)を総務省内で検討して戴きたいと願っている。NHKの元ディレクター、池田恵理子が籾井勝人会長の罷免を求めるOBの署名を約1500名集めたという。斯様な市民運動家によって好き勝手にトップの役員人事から番組偏向まで弄ばされてはたまならない。日本の侵食者、朝日新聞、毎日新聞、NHKOB諸兄、大越キャスター、国谷裕子キャスター、しっかりせよ!!

2014.12.17 (水)

NHK日曜討論に見る著しいバランス感覚の欠如 島田洋一(福井県立大学教授)

 2014年10月28、29の両日、北朝鮮の首都ピョンヤンで、日本政府代表団(団長、伊原純一外務省アジア大洋州局長)と北朝鮮の拉致問題等「特別調査委員会」(委員長、徐大河〈ソ・デハ〉国家安全保衛部副部長)による協議が行われた。その2日前に当たる10月26日午前9時から放送されたNHK日曜討論は、日朝協議をテーマに取り上げた。タイミング的には当然の企画と言えよう。しかし、疑問を抱かざるを得ないのはそのメンバー構成である。出演者は、美根慶樹・元日朝国交正常化交渉政府代表、武貞秀士・拓殖大学大学院特任教授、平岩俊司・関西学院大学教授、李鍾元・早稲田大学教授の4人。

 美根氏は元外務官僚、他の3人は朝鮮半島に関連した論文・著書をもつ研究者で、肩書や経歴に問題はない。

 が、いずれも、北朝鮮に宥和的姿勢を取るか、はたして姿勢や統一的思考があるのか不分明な人ばかりである。当時、日本政府代表団のピョンヤン派遣に対し、「宣伝戦に利用される」「行動対行動原則が益々曖昧になる」といった疑問や批判の声も数多く出されていた。そうした声を代表する人が一人も入っていない。

 例えばなぜ、朝鮮政治分析および拉致問題の第一人者である西岡力氏など交えないのか。

 4人のうち誰かをはずして西岡氏を入れるなら、3対1ではあっても、最低限のバランスは取り得る。

 北朝鮮の対日情報機関は、NHKのこの種番組やニュースは、日本世論の動向を知る上で特に重視してチェックしているはずである。

 上記メンバーによる、基本的に同一方向の「討論」では、「日本は甘い。何も分かっていない。簡単にだませるな」といった誤った認識を相手に与えるばかりだろう。

 北の政権内部で、「日本国民の多くは拉致問題にこだわっておらず、騒いでいるのは一部右翼勢力のみ」と主張している勢力にとっては、NHKの日曜討論は格好の「証拠」となろう。逆に、思い切った局面打開をトップに進言したい勢力にとっては、やっかいな「日本の専門家たちの一致した声」となろう。

 原則重視の対北ハードライナーばかりを出せと言っているのではない。せめて一人ぐらいは非宥和派を入れよという、きわめて控えめなバランス論を述べているに過ぎない。

 NHKに欠けているのは、国際情報戦の感覚以前の、常識的なバランス感覚である。

2015.04.30 (木)

NHKは原語副音声も流せ―オバマ発言誤訳 島田洋一(福井県立大学教授)

 NHKが4月29日、日米首脳会談の共同記者会見を伝える同日未明の中継で、オバマ米大統領の発言の同時通訳に誤りがあったとして朝のニュースで謝罪した。NHKによれば、同時通訳では「沖縄の普天間基地の移転について、より柔軟に対応したいと思います」としたが、正しくは「沖縄に駐留する海兵隊のグアムへの移転を前進させることを再確認した」だったという(以上、産経新聞の記事による)。

 政治的にほぼ逆の意味ともなる重大な誤訳だ。ただ、こういう事は起こりうるので、副音声でオバマ氏の発言をダイレクトに聴こうと思ったところ、「副音声はありません」との表示が出た。つまり、同時通訳の声がオバマ氏の声にかぶった形でしか聴けないわけで、このNHKの措置の方がより重大な失態だろう。生中継というより生視聴の妨害に近い。

 原語のみ、通訳音声なしの放送を副音声で流すことを原則とし、徹底すべきだろう。

2017.03.27 (月)

NHKは政治的に中立だと言えるのか? 太田文雄(元防衛庁情報本部長)

 筆者は海外のニュースに興味があり、毎朝7時からNHKのBS海外ニュースを見ている。毎週土曜日は「ニューヨークから」と題して京都生まれの米国人タレント、マイケル・マカティア氏の現地報道があるが、大統領選挙前後から一貫してトランプ大統領の批判報道ばかりを流し続けている。内容も一方的で、NHKの「政治的中立」はどこへ行ったのかと首を傾げざるを得ない。

 もともとニューヨーク州はリベラルな土地柄で、民主党支持の傾向が強い。同州では今回もヒラリー・クリントン候補が勝利を手にした。マカティア氏には個人的な心情もあるのだろうか、輪をかけるようにしてトランプ批判を繰り返している。インタビューに応じるニューヨーク市民もトランプ批判者を意図的に選んでいる印象が強い。

 ●放送倫理綱領にも違反

 しかし、アメリカ大陸は広い。この3月、国家基本問題研究所で講演したバンダービルド大学のジェームス・アワー教授はトランプ大統領について、「自宅のあるテネシー州でも約6割の支持があり、決してクレイジーではないと評価されている」と述べている。

 筆者も、安全保障政策に関してトランプ政権は、オバマ前政権と比較してよっぽどマシだと考えている。それはさておいても、自国民が民主的な選挙によって選出した大統領を常にこき下ろす態度は「米国民はバカだ」と言っているに等しく、聞き辛い。

 ある局面だけを捉えてトランプ政権批判ばかりを伝える態度は、NHKが日本民間放送連盟と定めた「放送倫理基本綱領」に明らかに反している。綱領には「意見の分かれている問題については、できる限り多くの角度から論点を明らかにし、公正を保持しなければならない」とある。

 そもそも政治問題で、ニューヨークからだけインタビューを流し続けることは、アメリカ全体が反トランプであるかのような印象を与えかねない。偏見に満ちているとしか思えない番組作りが今後も続くのであれば、筆者は受信料の支払いを拒否しようとすら思っている。

2017.06.01 (木)

受信料を海外偏向メディアに使うNHK 杉田水脈(前衆議院議員)

 ワンセグへの課金など、このところNHKの〝熱心な〟受信料の取り立てが話題になりますが、こうして集めた受信料収入の一部が、海外の偏向メディアに広告料として使われていることを日本の視聴者はご存じでしょうか。

 今回、「沖縄問題」や「日本会議」について日本を貶める記事を多く載せているフランスのフリーペーパーについて取材する機会があったので、その報告をしたいと思います。

 この「ZOOM JAPON」という名のフリーペーパーは、フランスを中心に毎月7万部、多い時には15万部も発行されており、フランス語だけでなく、英語、イタリア語、スペイン語にも翻訳され、ヨーロッパ中で配布されています。

 ●観光特集を装って実は反日報道

 内容を見ると、一面には「(高倉)健さんで辿る北海道」などとあり、一見すると日本の観光特集のように見えますが、ページをめくると沖縄の反基地デモの大特集。それも、全国から集まった人々が平和的な行動を取っているのに対し、国は機動隊を大挙して繰り出し、暴力的に排除している、などと明らかにバイアスがかかった紹介をしています。

 日本会議についてはさらに長いページ数を割いて特集しています。上智大学の中野晃一教授のインタビュー記事も長々と掲載していて、「日本に軍国主義を復活させるための団体」などと語らせています。

 中野氏は、「日本では女性は2級市民で、社会的にも家庭的にも非常に虐げられている」とか、稲田防衛相は「安倍総理もそういう(男女差別的な)考えを持っているが、閣僚に女性を入れる事でその思想を隠している」と言いたい放題です。このほかの記事も事実を捻じ曲げた一方的な内容が目立ちます。

 ●最大の広告スポンサーがNHK

 フリーペーパーなので、その運営資金は当然ながら広告収入で賄われています。驚くべきことに一番大きな広告を掲載しているのが、実は「皆さまのNHK」なのです。過去に発行された号を見てみましたが、最終面はすべて「NHKワールド」の広告です。中面にも大きな広告を掲載している号もありました。

 「NHKワールド」はNHKの海外向けサービスで、「日本とアジアの今を伝えるニュースや 番組を世界に発信」するものとして力を入れているものです。そうしたNHKの看板サービスの広告が、反日的内容を満載したメディアに出されているのです。広告料金も相当な額になるはずです。

 私としても、これはかなり衝撃的な事実で、インターネットテレビ番組の「言論さくら組」などで取り上げたところ、大きな反響を呼びました。

 さらに詳しく実態を調べ、今度こそ、こうしたNHKの偏向体質を糺していかなくてはならないと思います。

2017.12.22 (金)

NHKニュースに2点の疑問 島田洋一(福井県立大学教授)

 12月21日正午のNHKニュースでおかしな表現が2点あったので指摘しておく。

 1つは拉致被害者家族の衆院特別委員会での証言を報じる中で、「拉致問題は今年、事件発生から40年が過ぎた」とした部分である。正確には、横田めぐみさんらの拉致(1977年、当時13歳)から40年目というだけで、それ以前にも拉致事件は起きている。例えば1963年に、当時13歳の中学生だった寺越武志さんも叔父2人とともに海上で拉致された。

 武志さんは、その後消息が分かって訪朝した家族らに対し、「自分は拉致されたのではなく、北朝鮮の漁船に助けられた」と話している。そのため政府はいまだに拉致と認定していないが、状況からみて拉致事件であることは明らかだ。

 こうした政府の対応にも言えることだが、13歳の男の子の拉致を放置したまま(武志さんは北朝鮮での生活をなお強いられている)、13歳の女の子の拉致を日本は絶対許さないと主張しても説得力を欠くだろう。

 ●印象操作が過ぎないか

 NHKが被害者家族の証言を大きく取り上げたこと自体は評価するが、上記の点はやはり事の本質に関わる誤りと言わざるを得ない。北朝鮮による拉致は、その建国以来の一貫した「政策」である。70年代後半に突如始まったものではない。詳しくは別サイトに掲載した拙稿を参照頂きたい( 「今後も起きうる北朝鮮による拉致」 )。

 おかしな表現の2つ目は、トランプ大統領が「歴史的な勝利」とする税制改革法案が米議会で可決というニュースの中で出てきた。「市場関係者や産業界からは歓迎する声が上がる一方、国民の間では批判の声が多い」というのである。

 減税だけでなくオバマケアへの加入義務廃止なども含む複雑な法案だけに、賛否が様々にあるのは当然だが、今回盛られた内容を概ね公約として与党共和党は上下両院で多数を得ている。「国民の間で批判が多い」という括り方には印象操作の手を感じざるを得ない。産業界と国民を対立図式で捉えるのはいかにも左翼的である。

 NHKのアメリカ報道は、反トランプを露骨に押し出す米主流メディアの受け売りである場合が多い。今回もその例に違わなかったようだ。

2018.05.28 (月)

NHK特集の悪質な印象操作 太田文雄(元防衛庁情報本部長)

 5月19日に放送されたNHKスペシャル「日本の諜報 スクープ 最高機密ファイル」を見た。端的に言えば「防衛省情報本部の電波部が個人のインターネット内交信までを監視している。日本の情報によって他国が武力行使を行えば、武力行使を禁じた日本国憲法に違反する可能性がある」とする内容である。しかし、この番組は専門的な知識に乏しい素人が作成したとしか思えない、悪意に満ちた印象操作番組であることを指摘したい。

 ●専門的知識ないまま制作か

 まず番組ではTop Secretという英語を「最高機密」と訳しているが、インテリジェンスに関する専門的知識を多少なりとも持っている人であれば、秘密区分に「最高機密」などという区分はなく「Top Secretは極秘、 Secretは秘、 Confidentialは取扱注意」しかないことに直ぐ気づく。秘密区分のことを解っていないタイトルの付け方からしても、素人が作成した劣悪番組であることが判る。

 情報本部電波部が秘密のベールに包まれているかのような番組作りにも印象操作の疑いが強い。世界どの国でも電波情報を扱う機関を大っぴらにしている国などはない。番組は「何をやっているかわからない」と語る匿名の防衛省職員の音声を流していたが、防衛省はホームページで電波部の業務内容や組織を明示している。そこには担当領域として番組が図示した「海外の情報、安全保障」などと言う言葉はない。仮に番組が示した「海外の情報」が正しいとすれば、国民のインターネット交信まで監視しているとする番組内容と矛盾しているのではないか。

 さらに日本の情報により他国が武力行使をすることが憲法違反かどうかに関しては、安保法制やその前の周辺事態法策定の時代から論議されて既に結論は出ている。NHKは番組に登場させた憲法学者に「議論を詰めていく必要」を語らせているが、まったく理解に苦しむ。

 ●ワイドショー化するNHK

 5月25日夜のNHKニュースは、国の存続に影響を与える米朝首脳会談の行方よりも、アメリカンフットボールの悪質反則事案の方を優先していた。

 筆者は、よく海外出張してNHKの海外放送を見ることがあるが、内容の何とつまらないことか。こんなことに強制的に徴収される受信料を使わせて良いものか、と常に思っている。政府のプロパガンダ機関となっているロシアや中国、北朝鮮などの国際報道は別としても、せめてイギリスのBBCを始めとする欧米主要テレビ並みには国家にとって重要な報道ができないものか、と常に思う。

2017.08.21 (月)

NHKは中国の歴史戦に手を貸すな 太田文雄(元防衛庁情報本部長)

 NHKが8月13日に放映したドキュメンタリー番組『NHKスペシャル731部隊の真実~エリート医学者と人体実験~』について、中国共産党中央委員会の機関紙「人民日報」系のタブロイド紙「環球時報」は、8月16日から3日連続で取り上げるという異例の報道ぶりだった。特に16日の報道では、NHKと書かれた背広を着た人物が曇ったガラス戸を綺麗に拭っているイラスト画まで使っている。

 731部隊は細菌戦研究を行なっていたものの、人体実験を行った証拠は後述するハバロフスク裁判での証言だけで、公的記録を含めた物的証拠は出ておらず、実際に人体実験を行ったか否かについては未だに議論がある。NHKの番組は「当時の国際条約で化学・生物兵器の使用が禁止されていた」としているが、その1925年のジュネーブ議定書に日本は批准していなかったことについて触れず、さらに次の2点についても報じていない。中国共産党の誇張プロパガンダに手を貸している面が否めない。

 ●現地ハルピンでは問題視されず

 1つは、中国東北部のハルピンには731部隊に関する記念館があるものの、現地調査した人物によれば、現地の人達は731部隊に関して問題視していないという点だ。理由は被害を被ったのは遠隔地から連れて来られた犯罪人で、現地の人達に被害が全く及んでいないからである。

 逆にこれを問題視する中国の習近平国家主席は、記念館を対日歴史戦のカードとして使うべく、現在の規模を約10倍に拡張するように、近郊の学校などを接収するように現地に命じた。

 歴史家の秦郁彦氏によれば、南京で殺害された中国人はせいぜい1万数千人であるにもかかわらず、30万人以上の組織的な殺害があったとする中国のプロパガンダが全世界に蔓延してしまった。中国共産党政権は731部隊に関しても誇張されたプロパガンダを今、広めようとしている。そうした中国当局の思惑にNHKは手を貸しているといわざるを得ない。

 ●正当性疑われるハバロフスク裁判

 2つ目は、731部隊を裁いたソ連のハバロフスク裁判については、正当性が疑わしいことだ。ロシア人の極東研究者ボンダレンコ氏は裁判そのものを国際法違反だと批判している。NHKが報じたのは、当時のソ連共産党政治局員による共産主義洗脳教育が行われた結果の口述記録であり、「行っていないことでも、行ったと言わない限り日本に帰れない」と脅迫されながらの供述に、どこまで信憑性があるかだ。

 米国はクリントン政権時代の1999年、ドイツと日本の戦争犯罪を追求する委員会を設置して調査したが、慰安婦の強制連行同様、731部隊の人体実験記録は見つからなかった。このため米国務省などは、ハバロフスク裁判に関して全く正当性を与えていない。

 以上の前提を踏まえて、今回のNHK番組を見れば、それなりの判断がつく筈であるが、その前提をNHKは報じていない。

2018.10.19 (金)

偏向著しいNHKの米国境地帯ルポ 島田洋一(福井県立大学教授)

 アメリカ政治に関するNHKのニュースは、民主党支持の米主流メディアの報道を受け売りしたものが大半である。これに依ってアメリカ認識を形成すると確実に事態を見誤ることになる。

 いつも強調することだが、ニューヨーク・タイムズ、ワシントン・ポスト、3大テレビネットワーク、CNNなどの主流メディアに加え、共和党主流派に近いウォールストリート・ジャーナル、共和党保守派に近いFOXニュース、草の根保守に強い影響力を持つトークラジオなども適宜チェックしなければ、バランスの取れた認識は持てない。アメリカ研究やアメリカ報道を生業とする者の場合、それは義務だろう。

 ●ナレーションで「悪」演出

 もっともNHKも受け売りばかりしているわけではない。時にはかなりの費用と時間を使って現地取材を行い、独自のドキュメンタリー番組にまとめてもいる。ところがこれが、米主流メディアの受け売りの場合以上に偏向した作りであることが多い。

 最近録画で見たNHKのBS1スペシャル「アリゾナ 不法移民ハイウェイ~荒野の攻防戦~」もその1例だった。最初の放映日は2018年7月15日(日)である。制作側の番組紹介から引いておこう。

 《アリゾナ州南部、メキシコ国境から北に広がる荒野は“不法移民ハイウェイ”と呼ばれている。ここを年間30万人の不法移民が通過するのだ。不法移民に厳しい姿勢をとるトランプ大統領就任以来、この荒野を舞台に不法移民を巡る争いが激化した。大型銃を手に不法移民の取締りに乗り出す民兵。一方、渇きで死の危険に直面する不法移民に飲料水を提供する人々もいる。不法移民の排除か保護か。移民問題に揺れるアメリカをみつめる。》

 映像自体は参考になる部分が多い。決して時間の無駄にはならない。しかしナレーションの偏向がいかにもひどい。不法移民を入れない努力を一貫して「悪」と捉える姿勢なのである。

 ●字幕の訳でも印象操作

 警戒監視に当たるボランティアが不法移民の進入経路について冷静に語る場面でも、発言中のtheyをわざわざ「あいつらは」と字幕に訳す。その上で「トランプ大統領が移民への憎しみを増幅させている」などと単純な解説を入れる。

 合法移民と不法移民は全く異なる。しかもここでの取り締まり対象は、不法であれ既にアメリカに定住した人々ではなく、あくまで新規の不法越境者である。取り締まり手法に関して議論はあっても、不法越境の阻止自体を悪とする発想は米政界にない。

 NHKは日本の視聴者に対し、不法移民を取り締まってはならないというメッセージを発したいのだろうか。

2018.12.21 (金)

相変わらず皮相なNHKの「不法移民」報道 島田洋一(福井県立大学教授)

 NHKのアメリカ報道の不見識と偽善性については、これまでの「ろんだん」でもしばしば指摘してきたが、2018年12月16日夜の「7時のニュース」がトップで扱った「移民の7歳少女 アメリカで拘束後に死亡」も呆れざるを得ない内容だった。まるで米当局が殺したと言わんばかりの構成で、何でもトランプ批判に結びつける姿勢も幼稚なほどの安易さであった。

 ●少女の死をトランプ批判に

 悪しき見本として文字版全文を掲げたいところだが、紙数と時間の節約から部分的紹介にとどめよう。

 同ニュースはまず冒頭、「中米のグアテマラからアメリカへの入国を目指して家族とともに国境を越えた7歳の少女が、アメリカの当局に拘束されたあと体調不良を訴え、死亡しました。移民に対して厳しい姿勢をとり続けるトランプ大統領への批判が一層高まりそうです」と述べた。

 トランプ氏が「厳しい姿勢」を取るのは「不法移民」であって、「移民」全般ではない。NHKはおそらく意識的にであろう、そうした視聴者を混同させるような表現を用いるのをパターンとする。

 少女は、他の不法越境者160人余りとともに米国境警備当局に拘束されたが、高熱を発して「2日後に病院で死亡した」。これだけを聞けば、視聴者はまるで少女が虐待されて死に追いやられた印象を受けるだろう。

 事実関係を言えば、少女以外に死亡者はいない。NHKは、なぜその少女だけが死亡したのか確認したのだろうか。

 「少女の死をきっかけにトランプ大統領への批判が一層高まりそうです」とニュースキャスターは締めくくったが、そうした状況は今に至るも起こっていない。誤報といってもよかろう。

 ●安全地帯からの無責任報道

 ファクトを欠く中、NHKはこれまたパターン通りに視聴者の感情操作に走っていく。「グアテマラに残っていた母親や祖父らは15日、メディアの取材に応じ、このうち母親は『娘は病院で一緒にいた父親の目の前で息をひきとりましたが、父親は何もすることができませんでした』とつらい胸のうちを明かしました。ジャクリンちゃん(筆者注:少女の名)は、父親を1人にさせたくないという理由で3000キロ以上離れたアメリカを一緒に目指すことを決意したということです。そして、ジャクリンちゃんは、父親がアメリカで仕事を見つけて、ふるさとに残してきた3人のきょうだいなど、生活に苦しむ家族に送金するのを楽しみにしていたということです」。

 一体NHKは何を伝えたかったのだろうか。気の毒な1人の少女の死を無駄にしないよう、アメリカは無制限に不法移民を受け入れよとでもいうのだろうか。では、もし米側が「それなら不法移民は全員船に乗せて日本に送るから受け入れろ」と言って来たらNHKはどう答えるつもりか。

 自らを安全地帯に置いた無責任な報道は、メディアとしての質の劣化を示すだけでなく、場合によっては外交的摩擦をも惹起する。

 現在アメリカには不法移民が1100万人以上いるとされる。状況が深刻だけに、日本とは比較にならないほど突っ込んだ議論が行われてきた。NHKニュースは、その表層を撫でるレベルにも達していない。

2019.01.16 (水)

常時同時配信に拘るNHKへの疑問 髙池勝彦(弁護士)

 政府は、1月下旬に召集される通常国会で、放送法改正案を提出することを確認したといふ(産経新聞1月11日付)。これは、NHKがテレビと同じ番組を24時間インターネットで流す、いはゆる常時同時配信を可能にすることが目的のひとつである。この常時同時配信は、NHKが長年狙つてきた目標のひとつである。放送法では、NHKの業務の内容を限定してゐるため、放送法を改正する必要があるからである。

 ●民放やメディアは反対論

 昨年の7月、総務省の有識者検討会が、実施を容認する報告書案を公表したころから、ほとんどすべての新聞が同時配信問題を報じ、しかもそれに対して警戒感を示してゐる。しかし、事態はNHKの希望する方向に着々と進んで、つひに放送法改正案が提出されることになつた。

 当初、NHKが常時同時配信をやるについては、テレビを持たないネット利用者からも受信料を徴収する方向を示してゐたが、あまりに反対が大きかつたので、それは取りやめた。巨額の投資費用が掛かるので、民業圧迫などの批判もあり、日本民間放送連盟は、平成30年10月、インターネット活用業務の受信料収入の2.5%上限を維持すること、常時同時配信の地域制御、ネット配信事業における民放業者とNHKの連携、受信料体系・水準等の受信料のあり方の見直しなど8項目の要望を出してゐる。

 ●放送内容の公平担保が先だ

 特に、マスコミなどは、「常時同時配信には巨額の設備投資がいる。安易な導入は、受信料収入に支えられるNHKの一人勝ち状態を招き、民放との二元体制は崩れ、言論や表現の多様性が失われかねない」と批判する(朝日新聞平成30年9月18日付社説)。

 どうもこれまでの批判は、NHKのネット独占に対する危惧ばかりが強調され、NHKの偏向した放送内容に対する批判があまり見られない。私は、NHKの放送内容の公平さを担保する組織の必要性がもつと強調されてよいと思ふ。

 (仮名遣いは原文のまま)

2019.07.22 (月)

互いに血や汗を流す同盟関係に 太田文雄(元防衛庁情報本部長)

 トランプ米大統領の「日米同盟は不公平」発言を受けて、NHKのBS1が7月10日放送した「キャッチ!世界のトップニュース」で外交・安全保障担当の増田剛解説委員が「日米安保は、アメリカにとって、不公平どころか、測り知れないメリットをもたらしていると思います。日本政府は、トランプ大統領に、こうした同盟の内実をきちんと説明し、誤解を解く必要があります」と主張していた。

 増田解説委員は嘗て、日本が北大西洋条約機構(NATO)加盟諸国並みの防衛義務を負っていないことに触れずに、「日米地位協定やホストネーションサポート(受け入れ国支援)は、他同盟国に比して突出して米国を優遇している」との趣旨も主張していた。日本では多数のメディアに見られる主張のようだが、はたしてそう言い切れるのか。

 ●100ドルで命は贖えない

 湾岸戦争後、日本は130億ドルを拠出した。国民一人当たり約100ドル拠出した計算になる。これを米軍人に説明して理解を求めたところ、相手はポケットから100ドル札を取り出し「これで済むものなら誰も汗と血を流してまで国際秩序を守らない」と反論されたことがあった。

 「兵力を出さなくても130億ドル拠出したから良いではないか」という論理は、「施設を提供しているのだから米国は日本を守るのは当たり前」と同種の主張である。

 防衛費支出での同盟への貢献も十分ではない。最近亡くなった米国の著名実業家ロス・ペロー氏は1990年代に2度、大統領選挙に独立系候補として出馬したが、選挙戦中にテレビで日本の防衛費と米国のそれとを対国内総生産(GDP)比で比較し、「美しい(Beautiful!)」と皮肉っていた。当時、米国に居てテレビを見ていた筆者は、そのことを鮮明に覚えている。

 日米同盟は不公平という気持ちは、トランプ大統領に限らず米国の一般市民に一貫して燻り続けている。国力がない戦争直後の日本なら、それでも許されたが、今日では通じなくなっている。

 ●不均衡な貢献が招く危機

 筆者の博士号論文は『同盟の理論的根拠:冷戦後の日米同盟(Alliance Rationale: US-Japan Alliance after the Cold War)』である。これは『21世紀における日米同盟—歴史の観点と存続のための理論的根拠(The US-Japan Alliance in the 21st Century—A View of the History and a Rationale for its Survival)』としてGlobal Orient社から2006年に出版された。その結論は「同盟史の教訓から言えることは、相互不信(mutual distrust)と不均衡な貢献(imbalanced contribution)によって同盟は崩壊に至る」であり、「日米同盟も互いに血や汗を流す関係にしていかないと、何れは崩壊に至る危険を孕んでいる」というものである。

 かけがえのない自分や家族の命と、カネや施設提供は等価ではないことを肝に命じないと、いずれ日米同盟は崩壊しかねない。その時、米国はアジア・太平洋における前進基地を失うだけだが、日本は存立の基盤そのものを失うことになるのである。

2021.06.21 (月)

NHKの意図的な基地排除誘導 太田文雄(元防衛庁情報本部長)

 NHKは6月18日朝のニュースで外交・安全保障担当の増田剛解説委員が、東京六本木にある在日米軍ヘリポート基地(俗称ハーディー・バラックス)について、騒音と事故の可能性から撤去に世論を誘導する番組を流していた。

 専門家の意見として東京大学の藤原帰一教授の基地撤去推奨論のみ登場させ、騒音に悩まされる市民の声を動員して、世論を基地撤去の方向に誘導しようとする意図が見え見えであった。番組の最後には、米軍ヘリコプターの低空飛行を容認している日米地位協定について、同じ敗戦国のドイツ、イタリアが戦後何度も改定しているのに日本は1回も改訂していないと締めくくっていた。

 独伊との事情の違いには触れず

 戦後間もなく独伊は再軍備を行い、今世紀初めまで徴兵制を維持してアフガニスタンにも実戦部隊を派遣していた。すなわち米国との同盟関係ではGiveを果してTakeとして地位協定の改訂をしているのである。その点に全く触れないまま、日米地位協定は一度も改訂されていないと報道するのは意図的な世論操作と言わざるを得ない。

 もう一つ増田解説委員が触れなかった事がある。それはハーディー・バラックスが災害時、救援物資搬送で東京都が使用できる点、島嶼部からの救急患者を都内の医療機関へ搬送する中継拠点として使用している点である。

 NHKは「本件について在日米軍に質問しているが、回答がなかった」としているが、米軍基地に反対する意図が明白な番組に協力したくないのは当然であろう。

 六本木周辺住民が騒音に悩まされる実態も画像入りで放映していたが、同基地は戦後一貫して存在しており、住民はそれを承知の上で移住してきたのではないのか。騒音と事故の可能性はメディアのヘリでも同じだ。

 有事の日米連絡拠点としての意味

 コソボ紛争ぼっ発後、米軍が出撃する根拠地となったイタリアのアヴィアーノ空軍基地を、当時、基地を所掌する統合幕僚監部第4幕僚室長として視察したことがある。平時の出撃回数に比し7倍の出撃を行っており、それに伴い整備員や補給員が増強されて宿泊施設の容量が不足し、米軍人は仮設テントを張って宿泊していた。

 台湾でも朝鮮半島でも沖縄の尖閣でも、有事には日本の自衛隊だけで支えきれず、あらゆる面で日米共同対処になる事は間違いない。その時、横田の在日米軍司令部と市ケ谷にある防衛省との間では頻繁に高級幹部が行き来せざるを得ない事が予測される。

 筆者も、在米日本大使館の防衛駐在官時代に一時帰国して、ペリー米国防長官をハーディー・バラックスに出迎え、また統幕4室長時代には、統幕議長とブレア太平洋軍司令官と共に米軍ヘリでハーディー・バラックスと横田間を往復した。

 さらにハーディー・バラックスは、その名の通り兵舎もあり、有事には市ケ谷の防衛省と連絡業務にあたる米軍関係者の宿泊場所にもなる。

 日本が米中有事の最前線にあるという自覚のないメディアや、専門家と称する人達に都内米軍基地の是非を軽々に語ってもらいたくない。こんな偏向番組を早朝からのニュースで流すNHKだから「NHKから国民を守る党」(現、古い政党から国民を守る党)などができるのだ。

2023.09.25 (月)

NHKに改めて望む公平・公正性の確立 太田文雄(元防衛庁情報本部長)

 9月19日、東京・新宿にある産業遺産情報センターを櫻井よしこ理事長はじめ国基研の有志約10名が訪れ、 加藤康子センター長(国基研企画委員)の案内で見学 した。同センターは一言で言えば、明治の日本人が開国以来の短期間で産業立国を築いてきた足跡を全国23カ所の「産業遺産」でたどる展示である。その遺産の一つとして長崎県の端島炭坑(俗称・軍艦島)が展示されている。

 軍艦島での朝鮮人虐待を捏造

 昭和30年にNHKが「緑なき島」というタイトルを付けた番組で、戦時中の端島炭坑で朝鮮人労働者がいかに過酷な労働環境下で働かされたかを放映し、これが韓国の反日プロパガンダに利用され、世界に偽情報が広まった。ちょうど朝日新聞が韓国済州島での「慰安婦狩り」を「告白」した吉田清治氏の証言を紹介し、韓国などで反日プロパガンダの材料に使われたのと同じ構図である。情報センター内に保存されている当時の資料や関係者の証言から、NHKの報道は捏造であると裏付けられる。朝日新聞は平成26年に吉田清治氏の証言が捏造であったことを認めて謝罪したが、NHKは未だに捏造だったことを認めていない。

 偏向報道の数々

 翌20日に米戦略国際問題研究所(CSIS)パシフィック・フォーラムが「偽情報に対抗する日米同盟」と題してオンラインのセミナーを行った。日本からの発表者の結論が「NHKで信憑性ある情報を入手すべし」というものだったので、筆者はすかさず「軍艦島報道を捏造したNHKは信頼できる情報源たり得るのか」と反論した。

 NHKの偏向報道は、軍艦島の例にとどまらない。筆者はこれまで「国基研ろんだん」で何度も指摘してきた。古い順に列挙する(カッコ内は「ろんだん」の日付と見出し)。

 2017年8月13日放映のNHKスペシャル「731部隊の真実」(8月21日 「NHKは中国の歴史戦に手を貸すな」 )

 2018年5月19日放映のNHKスペシャル「日本の諜報 スクープ 最高機密ファイル」(5月28日 「NHK特集の悪質な印象操作」 )

 2019年7月10日放映のBS1「キャッチ!世界のトップニュース」で「トランプ大統領の『日米同盟は不公平』との発言は不適切」と解説(7月22日 「互いに血や汗を流す同盟関係に」 )

 2021年6月18日放映の番組で東京・六本木にある在日米軍ヘリポート基地撤去を誘導(6月21日 「NHKの意図的な基地排除誘導」 )

 2023年4月10日放映のクローズアップ現代「追跡“PFAS汚染”暮らしに迫る化学物質」で、国内の有機フッ素化合物(PFAS)検出場所が沖縄、東京・多摩地区、大阪、大分であるとし、大分や大阪には米軍基地がないにもかかわらず、原因を在日米軍基地と断定。

 偽情報対策としてNHKを使うのであれば、国民が信頼できる公平・公正性をNHKに期待する。(了)

 関 連

 国基研チャンネル

 第443回 NHKは偽情報対策たるべく公平公正を

 先日、産業遺産情報センターを視察。端島炭鉱の資料を見た翌日、米国研究所が中国の偽情報に対処するには、というセミナーを。そこで日本人研究者がNHKを見ればよいと発言。しかしこれまでNHKは端島炭鉱で偽情報を垂れ流した経緯あり。本来の公平公正を求めたい。

 産経新聞社がNHKの軍艦島プロパガンダについて報道した。

…軍艦島映像、NHK「坑内の確認得られず」元島民に調停で認める 抗議重ね4年

2024年12月30日

 「緑なき島」の坑内映像について自民党の山田宏参院議員が令和3年5月の参院決算委員会で取り上げた資料(山田宏事務所提供)

 長崎市の端島炭坑(通称・軍艦島)を巡るNHK番組「緑なき島」の坑内とされる映像について、NHKが端島炭坑内の映像であるという確認が得られていないと元島民側に認めたことが30日、分かった。東京簡裁で行われた元島民有志との調停で、NHK側が文書で認めた。元島民は令和2年以降「端島坑内ではない」と訂正を求めてきたが、NHKは「端島以外のものとの結論に至らない」として応じてこなかった。

 映像の風景は当時の保安規定や元島民の証言と食い違っているが、映像は韓国で朝鮮人の戦時労働者が非人道的な待遇を受けた証拠として引用されている。

 元島民有志は1月に東京簡裁に調停を申し立て、12月17日に成立した。NHKは「緑なき島」を巡り、①作業員全員がヘッドランプ(ヘルメットに装着する照明灯)を付けていない場面②坑道内で裸電球を使用している場面ーの2つの映像について、文書で「端島炭坑内で撮影されたものであるという確認が得られていない」と認めた。

 「緑なき島」は昭和30年にNHKが制作・放送した短編映画。坑内とされる場面には、ふんどし姿の作業員が裸電球がつるされた狭い坑道をヘッドランプを装着せず、はって進み、人力で石炭を運搬する様子が映し出されている。

 「緑なき島」の映像は、NHKが平成22年に韓国の公共放送KBSに提供した。それ以降、他の韓国メディアも使うようになった。令和5年1月までに、KBSやMBC、JTBCなどのテレビ局の計20本の徴用に関する番組で使用が確認された。韓国・釜山の「国立日帝強制動員歴史館」でも展示され、軍艦島が戦時中、朝鮮人作業員が劣悪な環境下で働かされていたとの印象作りに利用された。

 元島民有志は令和2年11月にNHKに対し、検証と訂正を求める抗議書を通知。NHKは改めて調査した結果、3年12月に「端島炭坑以外のものであるとの結論に至らなかった」とする報告書をまとめた。

 自民党議員も国会で4年近く追及を重ねている。映像の撮影時期に関し、NHKは5年6月に自民党の会合で終戦後の昭和30年だったと報告した。

 今回の調停で元島民側は名誉を傷つけられたとして謝罪を求めたが、NHKは強い遺憾の意の表明にとどめた。

 NHKは産経新聞の取材に、「今回の調停の内容は、令和3年にNHKが行った調査の結果で『端島炭坑以外のものであるとの結論に至らなかった』とする見解と何ら変わるものではない」とコメントした。

NHKの軍艦島映像、フィルムは戦後製

2023年6月19日

 明治日本の産業革命遺産 長崎「端島炭坑」(通称・軍艦島)

 昭和30年に長崎市の端島炭坑(通称・軍艦島)を取りあげたNHK番組「緑なき島」を巡り、NHK幹部が19日の自民党会合で、坑内とされる映像の撮影に使われたフィルムは放送と同じ年の30年製だったと説明したことが分かった。坑内映像は韓国のテレビ局などが、朝鮮半島出身者が戦時中に軍艦島で強制労働させられた証拠の一つとして使用している。終戦から10年後に撮影された映像だと裏付けられたことで、韓国側の主張の一端が崩れることとなる。

 複数の関係者が明らかにした。19日に開かれた自民の外交部会と日本の名誉と信頼を確立するための特命委員会の合同会議に、NHKの山名啓雄専務理事が出席し、明らかにした。

 番組の坑内映像には、狭い坑内でふんどし姿の炭鉱労働者が採炭する光景が映っており、韓国メディアが軍艦島を「朝鮮人強制連行」と関連づけて映像を使用するケースが相次いでいる。韓国・釜山の「国立日帝強制動員歴史館」でも使用が確認されている。

 NHK幹部の国会答弁などによれば、NHKは平成22年に緑なき島の映像を韓国の公営放送KBSに提供し、その後、複数の韓国メディアなどに無断で使用されている状況だという。

 19日の会合後、特命委の委員長を務める有村治子参院議員は記者団に「放送されたフィルムについてNHKから『戦後作られたものだ』と確認を取った」と説明。「韓国の複数のメディアで目的に沿わない使われ方をされているのは、日本の国益や歴史認識に関わってくる」とも述べた。

 坑内映像は端島炭坑の昭和30年当時の実態ともかけ離れた内容とされ、元島民らが軍艦島の外部で撮影されたものだと訴えている。

NHK、疑惑の軍艦島報道 「端島炭坑以外と結論至らず」元島民に回答

2022年1月24日

 長崎市の端島炭坑(通称・軍艦島)を扱った昭和30年放送のNHK番組「緑なき島」の坑内映像の真偽をめぐり、NHKが「端島炭坑以外のものであるとの結論には至らなかった」とする調査結果をまとめ、「端島で撮影されたものではない」と訴える元島民側に伝えていたことが24日、分かった。坑内映像は当時の実態とはかけ離れているが、韓国メディアなどで軍艦島で朝鮮人戦時労働者が非人道的な待遇を受けていたとする主張の論拠にされている。元島民の尊厳回復に至らなかった報告に対し、自民党の保守系議員は引き続き追及する構えだ。

 「現時点では明確な根拠があるとまでは言えない内容も一部存在するものの、番組の映像が端島炭坑以外のものであるとの結論には至らなかった」

 NHKは昨年12月、元島民らに文書でこう伝えた。

 「緑なき島」は昭和30年11月17日にNHK総合で放送された短編映像。軍艦島での人々の暮らしぶりを報じた「風土記」的な内容だが、坑内映像での作業風景は元島民の証言や坑内規則に反している。

 ふんどし姿の作業員が坑道をはい、ツルハシを振るい、石炭を入れる「スラ箱」を押す-。作業員は規則で定められている照明器具「キャップランプ」をつけず、坑道の照明灯には防爆装置が施されているようにはみえない。

 元島民が約70年も前の映像を問題視するのは、映像が韓国側の〝反日プロパガンダ〟に利用され、不当な理由で故郷がおとしめられているためだ。

 NHKは平成22年にこの映像を韓国の公共放送KBSに提供したという。その後、韓国のテレビ局やネットメディアが軍艦島を「朝鮮人強制連行」と関連づけて報じる際、坑内映像を引用するようになる。韓国・釜山の「国立日帝強制動員歴史館」では現在も映像が使用されているという。

 石炭採掘は確かに厳しい労働環境だっただろう。だが軍艦島をはじめとする石炭産業の発展は戦後の日本の経済復興に大きく貢献した。元島民の故郷に対するプライドは「地獄島」などレッテルを貼る韓国の報道により傷つけられている。

 NHKも元島民の要求に応じ、「緑なき島」について調査を開始した。令和2年11月以降、関係資料や書籍を調べ、NHKの退職者ら約70人や専門家約20人から聞き取ったという。

 その過程で元島民の主張を否定する事実も確認された。

 NHKには昭和22年と同35年ごろ、端島坑内を撮影した映像が保管されており「裸姿の作業員が存在した」という。専門家によれば、元島民が「使っていない」と主張するツルハシについて「メインにすることはないにしても、補助的に使うことはあったと聞く」(郷土史家)という。

 ただ、専門家らが異口同音に「考えられない」と疑問視する点が坑内での照明の在り方だ。

 映像では電球がむきだしの状態で使われている。はずみで割れると、火花でガス爆発を誘発しかねない。また、端島坑では大規模停電もあったという。作業員が漆黒の坑道から生還できたのは、キャップランプをつけていたためとの指摘もある。

 産業遺産のある専門家は産経新聞の取材に「坑内照明に防爆装置をつけていたはずだ。作業員にキャップライトがないのは命に関わる問題だ。三菱鉱業(現 三菱マテリアル)が運営した大炭鉱でヘコ(ふんどし姿)での作業もあり得ない」と強調する。専門家はNHKの調査にも応じ、同じ意見を伝えたという。

 自民党の山田宏参院議員は「どっちつかずの結論を出していることに怒りを感じる。韓国側の主張を否定することから逃げ続け、元島民の名誉を傷つけている。第三者を主体とした調査委員会をたち上げるべきだ。国会で厳しく正していく」と産経新聞の取材に語る。和田政宗参院議員も「NHKは、韓国KBSが日本をおとしめるような使い方をしていることに撤回と訂正を求めるべきだ」と強調した。

 NHKは産経新聞に「番組の映像は、韓国の法律上では、著作権の保護期間が満了し、NHKの著作権が主張できない可能性が高いと聞く」とコメントした上で、「元島民の方々が故郷がおとしめられているとお感じになることは遺憾に存じます」と複雑な心境ものぞかせる。

 元島民らの主張と異なる事案が確認されたとしても、それらは例外的なケースに過ぎないのではないか。1年もかけて調査すれば「緑なき島」の坑内映像が、当時の作業実態と異なっていたことが分かるはずだ。NHKが導き出すべき結論は「端島での撮影とは断定できなかった」が適当ではないだろうか。

 元島民の中村陽一氏(83)は産経新聞の取材に「NHKは端島の通常の坑内の映像ではないことをうすうす分かったということが報告書から読み取れる。例外事象を常時あるかのごとく言うのは間違っている。島民とNHKとの話し合いを要求したい」と語っている。(奥原慎平)…

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