今様平家物語-NHK信用失墜の巻-
祇園精舎の鐘の声、諸行無常の響きあり。
沙羅双樹の花の色、盛者必衰の理をあらはす。
おごれる者も久しからず、ただ春の夜の夢のごとし。
たけき者も遂には滅びぬ、偏に風の前の塵に同じ。
令和の世に、公共の名を冠せし一大勢力あり。NHKと号す。
かつて戦後の荒廃より立ち上がり、全国津々浦々に電波を送り、国民の耳目を掌握せし「受信料の王国」なり。その威光は、テレビの黄金時代にあっては、まさに平家の全盛にも比すべし。
ニュースを統べ、教養を説き、災害の警報を告げ、人々は「公共放送」の名に信頼を寄せ、月々の受信料を納めき。
されど時は移ろい、視聴の様式は変わり、民放とネットの波が押し寄せる中、この王国にほころび生じ始めたり。
根底に潜みしは、編集の公平性への不信なり。ある時、高市の宰相、がん検診の重要を説かんと、番組の収録に臨む。
「攻めの予防医療」を重んじ、早期発見・早期対応の大切さを述べ、未受診者への働きかけを讃えし言葉は、事前に確認されしものなり。
しかるに放送の日、前段の本意は切り捨てられ、後段の讃辞のみが残されけり。
宰相は自ら筆を執り、経緯を世に明らかにす。「全く政策の説明をしていないとの指摘あり」と。
これより先、批判の声は野火のごとく広がる。
斜めに傾きしカメラの画角は「不安を煽るダッチアングル」と指弾され、手ブレの映像は「印象操作」と囁かれ、政権発足の報を巡る編集は「意図的な矮小化」と疑わる。
沖縄の米軍事件を巡る特集の延期は「忖度」と報じられ、選挙報道の注釈は「偏り」と糾弾さる。
人々は言う。「公平を標榜しながら、切り取る刃は一方に傾く」と。受信料の収入は七年連続して減じ、赤字は積立金を食む。
未収を督促し、ネット配信を必須となし、組織を削りて均衡を目指すも、信頼の土台が揺らげば、財もまた危うし。
「人類の敵」との過激な声さえ、SNSの海に浮かぶまでとなりぬ。
平家がおごりの極みに壇ノ浦の波に沈みしごとく、権力と権威も、公平を失えば長くは保たじ。
NHKよ、公共の名を冠する者よ。編集の刃は、常に両刃なり。一方を切り捨てれば、他方より信頼の血が流る。
諸行無常の理は、電波の時代といえども変わらざるものなり。
されば今、この信用失墜の巻を記す。
後の世の人、編集の公平を忘るることなかれ。
信頼は、一夜にして築かれず、一夜にして失わるるものなれば。




