91 Side.フィロン 4
周辺を探知しつつ散策する。
私はあらゆる物の呼吸を、アグニルはあらゆる魂の炎をそれぞれ感じ取ることができる。
「近くに植物以外の呼吸はないね…」
「魂の炎も我ら二人以外には近辺には存在しないな…」
「とりあえず一番近い人の集まりがあるところまで行くとしようか?」
「賛成だ…、目立たないようにするためにもまずは遠くから観察だがな」
「んじゃ、それでいこう」
互いに互いを理解しあっているからか、こういう時は話が早くて助かる。
私とアグニルは個人の仲は良くないが、父上を第一に考えているという点では同志とも言える。
アグニルが父上を裏切ることは無いと信頼しているし、アグニルも同様に私を信頼している…。
故に今回は…。
「それじゃアグニル、いざって時は…」
「言われなくとも解っているさ…。
お互い今更口に出すまでも無いだろう?」
「それはそうだけど、一応ね…」
「分かってるさ…」
お互いに確認し合う…。
何せ私達が一緒に任務をすること等、そうあることではない…。
余程の重大な任務でも無い限り、強さと汎用性で666の眷属達の双璧とされている私達が組むことはない。
父上が思い悩んでいるこの任務だからこそ、私達はアリスお姉さまに呼ばれたし、私達もそれを受けたのだ。
だからこそ…、
「あ」
「どうしたいきなり…」
「場所…、どうする…?」
「……あっ…」
「流石に現地の人々を巻き込む前提は不味いよねぇ…」
「もしそうしたら…、我が主に余計な手間を掛けさせることは確実だな…」
「………」
「………」
「一応場所を選別しておいて、どうしようもなくなったら被害全無視で」
「仕方あるまい…」
父上の不安を払拭するための作戦で、父上に負担を更に押し付けるのは流石に問題だ…。
「村や町に行く前にいい感じの場所を探そう…」
「異議なし…」




