76 Side.ヘスティア 3
……何とも言い難い場面に遭遇してしまいました…。
グーロさんが…、普段から感情を見せないグーロさんが…、主様に縋って泣いています…。
主様も頭を撫でつつ宥めているようですが…、泣き止む気配はありません…。
そんな様子を扉の影から窺っていたら…。
《ところでヘスティア…、何か用でもあるのかい…? …あぁ…、声は上げないようにね…》
(!!?!!?!?!)
《……驚きすぎじゃないかい…?》
(…驚きもしますよ…。 何時から気づいていらしたんですか…?)
《聞くまでもないだろう…?》
あ…、やっぱり最初からですか…。
そうですよね…。 主様に隠し通せるわけないですもんね…。
《それで結局…、何の用なんだい…?》
(主様に拝謁しようと…)
《ならノックしてから入ってきなさい…。 グーロもまだ君に気付いていない…》
(…分かりました…)
…何となく…、主様はグーロさんには特に優しい気がする…。
勿論私自身にも優しくしていただいていますが…、グーロさんに対するそれは他の眷属の方々と比べても比重が大きい気がします…。
……少しばかりグーロさんが羨ましいですね…。
私は身形を整えて、扉をノックして部屋の中に声を投げかけます。
「主様、入ってもよろしいですか?」
「!?」
『いいよ、入っておいで…。』
「失礼しますね…。」
改めて部屋の中に入ると、僅かに目を見開いたグーロさんがこちらを見ていました。
表情は読み取れませんが…、驚いているのでしょうか…?
「おはようございます、主様…」
『おはよう…、ヘスティア…』
「……おはよう…」
挨拶で気を取り直したのか、グーロさんも挨拶を返してくれました。
変わらず表情は読み取れませんでしたが…。




