74 Side.テレス 4
「お姉さま~?」
目の前のお姉さまに声を投げかける…。
だが返事はない…。
「お姉さま~? 聞こえてる~?」
再度お姉さまに声を投げかける…。
だがやはり返事はない…。
恐らく、聞こえていないだろう…。
ここ最近、何やらお姉さまは考えに没頭している…。
お兄様が別世界に飛ばされてから、ずっと考え込んでいる…。
何時もなら世界樹全体を感知し、異常がないか監視していたのに…。
今じゃ目の前にいる私にすら気づかないありさまだ…。
というのも……、今度お姉さまが出向く任務は…、何やらよからぬことが起こるようなのだ…。
それによってお兄様に更なる重荷を背負わせることになるんじゃないかと…、恐らくそれを悩んでいるのだろう…。
それにどう対処するかを、恐らくお姉さまは考え込んでいるのだと思う…。
双子だとは言っても、私とお姉さまじゃお兄様に対する接し方が違う…。
お兄様の事に関しては、私とお姉さまはお互いの考えを読み取れない…。
けど私もお姉さまも、お兄様に救われてほしいと願っているのは同じだ…。
お兄様が目指す理念…、勿論最初からそうだったわけじゃない…。
初めてお兄様がそれを認識してから…、永い時を経て理念へと昇華されたのだ…。
その時お兄様が出した答えは…、私達には到底受け入れられないものだった…。
だが、永劫とも言えるほどの時を経て辿り着いたお兄様の答えを翻させるだけの言葉を…、私達は持ち合わせていなかった…。
故に私達は探した。
お兄様を救う手立てを…。
お兄様と私達で…、幸福な未来を迎えるために…。
「……よし…。 あら? テレス、どうしたの?」
「やーっと気づいた…。 考えに没頭しすぎだよーお姉さま」
「……どうやら結構長いこと没頭していたようね…」
「カビが生える前に正気に戻ってくれて何よりだよー」
「流石に生えないわよ」
どうやらお姉さまの心は決まったようだ…。
「お姉さま…」
「なぁに?」
なら…、私も……。
「……絶対だよ……」
「……えぇ…、解っているわ…」




