71 Side.アグニル 4
『無用な心配をさせてすまないね…、アグニル…』
「いえ、御無事で何よりでございます…。 お帰りなさいませ、我が主よ…」
帰還なされた我が主を、恭しく出迎える。
無事を確信してはいたが…、不敬だとは思いつつもやはり心配であった…。
こうして力も戻られた我が主を前にして、ホッと胸を撫で下ろす。
(それで…、首尾はどうでしたか?)
《問題ない…。 これで懸念はほぼ払拭された…》
他に聞こえぬよう、念話で我が主と話す…。
(では…!)
《あぁ…、後は気を抜かないように…、来るべき時まで備えるだけだ…》
我が主の言葉に…、安堵の想いを胸に抱く…。
我が主より示されていた"来るべき時"…、その顛末に希望が見えてきた…。
このまま万全を期して日々を過ごせば…、我が主と共に永劫を歩めるようになるのだ…!
早速このことを皆に伝えなければ…! …ぐぇっ!
駆け出そうとすると我が主に襟元を掴まれる。
き、気管が絞まる…。
『待った…、先に彼女を案内しなさい…。 伝えるのはその後だ…』
「…わ…、わかりました…」
あー、びっくりした。
呼吸せずとも長時間活動できるとはいえ、いきなり絞められると驚く…。
まぁ先に我が主の命を為さなければ…!
「君がアナスタシアかな? 私はアグニルだ。 よろしく頼むよ。」
「よろしくお願いするわ…」
んー…、高貴なお姫様って感じだな…。
アリス殿よりも落ち着きがある雰囲気を醸し出している…。
っと、比較してるのがバレたらアリス殿に怒られそうだ…。
「さ、行こうか。 広いから今日はとりあえず食堂と君の部屋ぐらいにしておこう」
「広いってどれぐらいかしら?」
「下手な都市ぐらいはあると思うよ。 私は普通の都市を知らないけどね…」
驚きの表情を見せるアナスタシア…。
うーむ…、中々可愛い反応をしてくれるな…。
まぁまずは彼女に、此処を気に入ってもらうのが先かな。
彼女には我が主を繋ぎ止めてもらうのだから…。




