70 Side.アナスタシア 7
漸く全てが終わった…。
彼奴から逃げ出し…、彼に出会ってから一ヶ月にも満たない激動の日々だった…。
彼奴がおかしくした皇国も…、国の皆も…、これで元に戻るはずだ…。
「大丈夫なのよ…ね?」
『原因は既に、この世界との繋がりが絶たれている。 洗脳自体も眷属に解除させた…。 何ならその目で確認するか?』
「……いいえ…、辞めておくわ…。 貴方が言うのなら大丈夫なのでしょうし…、もし見てしまったら…、きっと未練が残る…。 だからこのまま貴方の世界に行くわ」
見てみたい気持ちが無い訳ではない…。
だがほぼ間違いなく…、決心が鈍るだろう…。
皆が元に戻ったことは疑いようもない…。
彼は約束を守る人だし、嘘を吐く理由もない…。
だから今度は…、私が約束を守る番…。
「早速行きましょう…、貴方の世界も見てみたいし。 どうやって行くの?」
『そろそろ迎えが来るはずだが…』
話していると…、何やら黒い穴が出現した…。
これが迎えなのだろうか…。
その黒い穴から…、彼と同じ黒髪の少女が出てきた…。
「父上、お迎えに上がりました」
『手間をかけてすまないな、フィロン』
「滅相もありません! 父上のためを思えばこのくらいは…」
会話を聞く限り、どうやら娘らしい…。
黒髪の少女は、どこか嬉しさを滲ませながら彼と会話している…。
そしてその黒髪の少女が、私に向き直る。
「貴女がアナスタシアさんね。 私はフィロン。 同じ眷属同士、これからよろしくね」
「こちらこそ…、よろしくお願いするわ…」
フィロンさんと握手を交わす…。
眷属の人達と会うのは一人目だけど…、仲良くやっていけそうだ…。
事前に彼から聞いた限り…、眷属の人達は無数にいるそうだから、うまくやっていけるか不安なところもあった…。
少なくとも一人だけでも、気の合いそうな人がいてくれたのは心強い…。
「さぁ、ここを潜れば私達の母星に行けるよ。 あ、父上はグーロ達の相手をお願いしますね」
『暫く放置してしまったわけだし…、まぁある程度は覚悟するか…。 先に行っているぞ…』
「分かったわ」
そういって彼が、先に黒い穴を潜った…。
彼の姿が黒い穴に飲み込まれ、闇へと消える…。
「さぁ、私達も行きましょう」
「えぇ…、そうね…」
この先に…、彼の世界があるのね…。
黒い穴の前まで歩みを進め、ふと立ち止まる…。
そのまま一度だけ、自身の生まれた世界を振り返る…。
思い残すことが全く無い訳ではない…。
だが彼のおかげで国が救われた事実があり…、私自身も彼と契約した以上…、これ以上は欲張りだろう…。
(父上…、母上…、兄上…、国の皆…、どうかお元気で…)
心の中で両親と兄と国の皆に別れを告げ、私は黒い穴を潜った…。
※連絡事項
暫く更新が一週間に一話になります。
結末は決まっていますが、それに到るまでの話の数をどうするかが未定なので、暫し更新頻度を落とさせてもらいます。
エターナルする予定はありませんのでお願いいたします。




