66 Side.アラクネ
気配を殺して…、息を潜める…。
対象に気取られないように、音を発さないようにする…。
対象は眠りについたまま起きる気配はない…。
対象に近づいてくる気配も存在しない…。
監視を開始して暫く経つが…、現在まで異常は見られない…。
外は未だに暗闇の中…。
このまま明るくなるまで何も無ければいいのだが…。
(というか、いきなり呼び出され、訳も分からないまま対象の監視をしろなどと、相変わらず創造主様は唐突すぎる…)
確かに対象に気取られないように監視・護衛をするのであれば、私が適任であるのは理解できる…。
しかし…、眷属の方々の何れかを一人でも呼べば、此度の騒動は万事解決であろうに…。
《すまんな…、表の俺が回復するまでもう暫くかかる見込みなんだ。 あまり力を行使して回復を遅らせるのもあれだしな…》
(だから唐突に思考を読まないでいただきたい…)
しかしそうか…、創造主様の裏人格が表に出ているのはそういうことだったか…。
となると…、眷属の方々を呼ぶのは無理だな…。
現状可能なのは…、母星にいる使い魔を数体呼び寄せ、後は現地で生成するぐらいか…。
(まぁ可能な限りは頑張りますよ。 使い魔の中で一番最初に頼ってもらえましたし)
《場所を問わずに俺以外の護衛と隠密を兼ねられるのは、使い魔の中ではお前だけだからな…。 あいつらを呼べない以上、可能な限りの最善を尽くすしかない…》
……。
やはり創造主様に頼られると、柄にもなく気分が高揚する…。
むぅ…、何かむずむずしてきた…。
創造主様に頼られたことだし…、対象の監視と護衛をより頑張るとするか。
《そもそもお前の今の大きさだと、お嬢ちゃんには気付かれないと思うがな…》
(……? 息を潜めなければ容易く見つかるのでは? 眷属の方々には常に居場所を把握されていますし…)
《あいつらを基準に考えるな…。 肉眼で目視できないほどに小さくなったお前を見つけるのは、常人には不可能だ…》
(知りませんでした…)
《…たまには眷属達の誰かの任務に同行させたほうがよかったかな…》
うーむ…、作られてから結構経つけれど…、今迄で一番衝撃的な事実だ…。




