60 Side.アグニル 3
色ボケピンクに力を貸してもらい、回廊を歩いて帰路につく。
今回のことを仕出かしてくれた奴は、存在したという概念すら残さず燃やし尽くした。
今後同じことを仕出かそうとする奴は、即座に焼失するように仕掛けも施した。
これで今回のような事態は、もう起こらないだろう…。
それよりも問題なのは…。
「ねぇねぇ、たまには参加するのもいいんじゃなぁい?」
「何度も言っているが、私にその気はない。 私にとって我が主は崇拝の対象であって、情欲の対象ではない」
毎回断っているというのに、未だに諦める気配がないのはどういうことだ…。
我が主と褥を共にしたくないか、と問われれば否とは言えない…。
既に我が主に魂魄を捧げた身なれど、我が主の温もりを肌で感じたくない訳ではない…。
だがやはり、畏れ多いという想いが先に立つ。
私が今こうして在ることが出来るのも、偏に我が主のおかげだ…。
我が主が居なければ、私はいずれ燃え尽き果てて死んでいただろう…。
だからこそ、最初に犠牲となるのは私でなければならない…。
優しき我が主は、我ら眷属達が傷つくことを愁いておられる…。
我が主は自身以外の犠牲が出ることに心を痛めておられるのだ…。
眷属達は皆、そのことを承知の上で我が主の手伝いを進んでしている…。
私自身も、この魂魄の全てを我が主に捧げている…。
故に私は、我が主のために先陣で力を揮う。
誰よりも前に…。
誰よりも先に…。
偏に優しき我が主のために…。
「最近はレイアちゃんもメンバーに加わったとは言っても、あまり無理はさせられないしねぇ…。 ほら、レイアちゃんちっちゃいし」
「そんなことは聞いてない」
「だからここは眷属達の中でも古株であるアグニルちゃんにも参加してもらいたいなぁ──って」
「だからその気はないと言っているだろう…」
この色情狂娘は…。
聞いてもいないことを喋る上に、延々としつこいところはどれだけ時を経ても変わらぬな…。
また世界樹に帰るまで聞き続けなければならないのか…?
塵も残さず燃やし尽くしてやりたいが、そんなことをしても疲れるだけで殺せないことはお互いに解りきっている…。
いや、こいつの話を聞いてると疲労が溜まるという意味では、こいつは私を過労死させられるのではないか…?
つまりこの脳内桃色馬鹿娘よりも私が弱いということに…。
……やめよう…。
これ以上考えると奈落の底まで気分が落ち込みそうだ…。
なるべく聞き流しながら帰るとしよう…。




