56 Side.ルシファー
「う~~む…。 流石にこれは予想外だ」
眼前で行われている戦争を見物しながら、どうするか考える。
何の捻りも面白みもない戦争ならば、我の興味を惹くところではない…。
だが今目の前で行われている戦争が、文字通りの意味で世界の存続がかかっているとしたら話は別だ。
人類と怪物、天使と悪魔、神と神、何もかもが入り乱れた混沌とした戦場が其処に在った…。
これだけでも、普通ならば世界が崩壊する程度で済む。
が、今回の場合更にそこに異世界から来た者達が加わっている…。
我らが主の言によれば、この戦争の最終的な勝者は異世界人達になるようだ。
とすると、下手をすればこの世界の本来の住人達が絶滅する可能性が高い。
それも問題だがそれ以上に問題なのが、異世界人達が元の世界との門を保持したまま居座る可能性だ…。
本来存在しないはずの者達が、大多数その世界に住みつき、本来の住人達と入れ替わるようなことになれば…、この世界の定められた歴史が綻び崩れ、世界の崩壊ではなく消滅してしまうことになる…。
「我はこの世界に探し物をしに来たはずなのだがなぁ…」
我らが主に頼まれた仕事の内に、秘密裏に確保して欲しい物がこの世界に在るようなのだ。
そのために配下の者達やベルゼブブにも悟られぬように抜け出してきたというのに…。
そしてまたもやベルゼブブの奴は怒っているようなのだ…。
いや、実際あいつから見れば我は仕事を放りだして放蕩三昧しているロクデナシなのだろうが…。
かといってこの仕事の内容を知られる訳にもいかぬしなぁ…。
我らが主が予知する来るべき時の為の備えとして、今回の探し物は絶対に必要な物だ。
そして我らが主の言葉の通りだとすれば…、成る程他の眷属達に言えぬのも理解できる…。
我としても止めたいが、我らが主の覚悟の程を知っている以上、止まらぬのも百も承知。
ならばせめて、この不安を他の眷属達には抱えさせぬようにするのも、我の務めなのだろう…。
さて、探索を円滑に進めるためだ。
異世界人達には元の世界に還ってもらおう。
この世界の住人達が勝ち残る分には些かの問題もない。
となれば、異世界人達を元の世界に追い返すのが尤もだろう。
仕事内容を知られぬようにする以上、他の眷属達の助力は望めぬが…、一人だけ問題ないのがいたな…。
(我らが主殿、アイオーンを三人程貸してはもらえませぬかな?)
《必要かい…?》
(居ればより円滑に、容易く為せるかと…)
《なら構わないよ…》
(感謝します…)
複製天使は我らが主の為すことを知っている。
それ以上に、彼の者達は任務に忠実だ。
感情が無いとも言えるが…、他者に漏らす心配が無い故に、こういう場合は最適だ。
ただ、眷属としての個人戦力は666の眷属達内では最弱もいいところ…。
今回のように探索であったりすれば問題はないが…、我が請け負う大半の仕事では後方支援以外できそうにない…。
お、どうやら早速アイオーン達が来たようだな…。
さて、手早く済ませようか…。




