25 Side.テレス 2
「…でさー、やっぱりマンネリにならないようにするのが大事だと思うわけよー」
「あぁ…、そう……」
お姉さまが力の無い返事をする。
「お兄様に全部任せるのはそれはそれで問題だしー? いや、千年間摩耗しない快楽と多幸感とかほんとに中毒になりそう、てか実際になったけどー」
「あぁ…、そう……」
お姉さまが力の無い返事をする。
「やっぱり最初の一年で大体やりきっちゃうのよねー。 それ以降がいつもお兄様任せになっちゃうしー」
「あぁ…、そう……」
やっぱりお姉さまは、力の無い返事をする。
「……お姉さまちゃんと聞いてるー?」
「あぁ…、そう……」
(んー……。 心ここに在らずといった感じだね)
「んー…。 精神摩耗で意識殆ど飛んじゃってるねー」
「あぁ…、そう……」
もはや反射だけで返事をしている…。
しょうがない…。
「ほらほらお姉さまー! 正気に戻っ、てっ!」
「へぶっ!?」
お姉さまの頭に向かって、勢いよく鎌の柄を振り下ろす。
そして、ゴギンッという音と共に、お姉さまがうめき声をあげる。
少しばかりお姉さまが蹲った後…、
「痛いじゃないテレス!?」
跳ね起きるように私に怒気を飛ばす。
良かったー。正気に戻ったみたい。
「おー、目ぇ覚めたー?」
「おかげさまでね…!!」
椅子に座り直したお姉さまが、怒りと共に紅茶を飲み干す。
しかしこのやり取りも何度目だろうか。
「お姉さまは何時までたっても慣れないねー」
「貴方達の赤裸々な情事の内容なんて、正気で聞いてられないわよ。 羞恥心的な意味でも、狂気度的な意味でも……」
(あれ?羞恥心は解らなくもないけど、何か狂気が伴うような内容ってあったかな…?)
「理解しなくていいわよ。 私も理解したくないから……」
「そー?」
返事をしつつ、紅茶を啜る。
(あ、そうだー)
「そういえばお姉さま。 あの時聖女ちゃんといっぱいお話ししてたけど、何話してたの?」
「…貴方も近くで聞いてたはずよね…? 名前も覚えてないの…?」
お姉さまが呆れたように私を見る。
「覚えてないから多分聞き流してた!」
「……そう……」
お姉さまが疲れたようにため息を吐く。
「それで、何話してたの?」
「色々よ。 覚えてないなら気にしなくてもいいわ……」
「ふーん?」
「安心しなさい。 クレスの理念に感銘を受けてたみたいだから、きっとクレスの助けになるわ……」
「ならいいけどねー」
お兄様の理念は、決して報われない茨の道だ…。
誰かに頼まれた訳でもなく…、ただお兄様自身が望んでその道を歩んでいる…。
だから私はお兄様を助ける。
あの日、お兄様に出会った時に、私はお兄様に永劫付いて行くと誓ったのだから…。




