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私は精霊ではありませんよ   作者: lassh-leyline
第四章   闇を払う者たち
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第九話   想いの功罪(こころ)

気分が乗ってピッチが上がりました。


第九話   想いの功罪(こころ)



 ウチに与えられた使命はこの子達の世話。

 シンディーちゃんの頼みじゃしょうがないか。

 ほんとはすぐにナナさんを探しに行きたいのですがこの子達を放っておくわけにも行きません。今朝見つかったとの連絡がありエフェが迎えに行くそうです。あのことを言っておいた方が良かったのでしょうか・・・恐らくナナさんの様子がおかしかったり身を隠したりした原因。

 結構沢山居たようですが状況判断できない人っばかりで生き残った人は居ませんでした。未練たらたらで絡んできた方も居ましたがさっさと送って差し上げました。皆さんご苦労様でした。次も頑張ってください。


 で、朝からお出かけです。今日は寮の食堂が休みです。決して料理が出来ないからではありませんよ!

 ウチに掛かれば朝飯ぐらい・・・ただ、どうしても外食したいってスズネが。

 とりあえず行きつけの定食屋に行きました。 

 

 店の前に妙な二人組が通過しました。あの二人が一緒?なにやらやばい雰囲気だしシンディーちゃんにケンカは止められていたはずですがどうもそんな雰囲気です。まだ気を許したわけではありませんがスズネのこともあり、利用価値がある間は手を出さないのが暗黙の了解です。


 エルフのハリアが遠話が使えるそうなので、ここで待ってもらうと姿と気配を消して二人を追います。特に念入りに、見つかると面倒だから。


路地裏に結界をはって話し始めました。危うく閉め出されるところでした。



「どういうつもりだ?」

「それはこちらの台詞ですよ。何故着いていてあげないのですか?それとも主人としての自覚がないのかい?」

「・・・きさま・・・」

「どうやらあの魔法を使うまでどういうものか分かってなかったようですね。大方無難に『俺を受け入れろ』とでも仰いましたか?」

「くっ!・・・」

「おや図星でしたか?・・・貴方も可愛そうなことをしましたね。大方同じ人間族だと思って掛けた言葉でしょうが彼女は厳密には人間族ではありませんよ。」

「何だって?どういうことだ?」

「彼女はまだ知られていない種ですね初めて見ました。”王子”が貴方への挑発に使って居ながら身元を隠すような残し方をしたのもそのあたりでしょう。本来なら友となるための言葉も異種族では異なる意味を持ってきます。異性の場合立場が同じものにはプロポーズ、下のものには従属を意味します・・・しかし、閉ざされた心の中、唯一の繋がりを持つ人物に受け入れろと言われれば素直に従うでしょうね。さらにこの魔法の強制力はとても強い。情報を得る間だけのつもりだったとしても彼女にとっては永遠に逆らえない命令になってしまったんでしょう。・・・彼女は受け入れますよ、貴方の全て(・・)を。もし死ねと言われれば喜々として従うでしょうね。いえ、貴方にとって一番良いと思うことをするでしょう。」

「だから名も告げずにその場を離れた、本来ならもう会うことはなかったはずなのに。」

「甘いですね彼女は追っていく気満々だったでしょうね。そのために現実に戻ってきたのですから。そして彼女は魔法による強制との自覚がないかもしれません。そのため放置されていることに不満を持っています。貴方へのストーカー行為がその例でしょう。そしてそのためにこの度のことが起きたのでしょう。」

「だがおれにどうしろと言うんだこれ以上彼女を辱めることは出来ん。」

「姉上の面影を追っていらっしゃるのでしょう?」

「きさま!・・・どこまで知ってる?」

「”王子”が喜々として言いふらしておりましたよ。目の上のたんこぶだった貴方の、姉上を攫い飽きるまで使い潰したあと死体を晒してやったと。混ざりものだから表沙汰に出来ず糾弾するわけにも行かないと。確かそれからでしたね彼が無意味に女性をいたぶったあと死体が残るように細工しだしたのは。」

「いまだに俺を呼んでいるんだよ、死んでもなびかなかったクルルのことが忘れられず、俺より優秀だと証明したがっていた。奴に言われるまで姉弟だとは知らなかった。昔からクルルのことを狙っていたから。ナナを始めてみたとき思わず抱き上げていた。そのおかげでまだ息があることも命を救うことも出来た。だがこれ以上は巻き添えにしたくない。彼女を不幸にしたくない。」

「ふっ、今の彼女が幸せに見えますか?今更何を言ったところでもはや貴方のために何かするくらいしか幸福を感じられないところまで行ってしまってますよ。本当に可愛そうなことだ、せめて彼女を受け入れてやれるのならまた違ったのだろうが、本命でないなら手を出すわけにも行かないのでしょう。貴方も損な性格ですね。」

「何もかもお見通しか。ハッ!そんなに分かりやすかったか。」

「彼女もまんざらではなさそうだが親友を裏切る気はなかろうな。だがナナの方はそうはいかんぞ。」



 え、ナナさんもあの魔法に掛かっているって?

 しかもマルゼークだって?しかもあの醜態が魔法のせい?

 ・・・・思い当たる節はある。

 まず、あの扉。ナナさんは頑なにマルゼークと二人きりになるのを警戒していたし、部屋の中に入れるのを怖がっていた。しかも会話だけは欠かさずにしていたし、何らかのお願い(・・・)をしてもらうのを待っていたのかもしれない。もしかしたらあわよくば直接顔を見て話をしろとか言われるのを待っていたのかも。そして彼からの初めてのプレゼント何の冗談かと思ったけど小さい扉。

 まさに彼との繋がりを表すものでありそして彼の代理でもありました。

 だから扉に触るものは容赦なく殴られました。エミリーは何度か壁に打ち付けられ、シンディーでさえ容赦なかったですから。マルゼーク自身でも別のものに変えようと取り上げた時に殴り倒されました。おそらく魔法に対抗するための無意識的反応だったんでしょう。以来誰も何も言わなくなりました。


 そしてそのあたりから行動的になってきましたまるで彼にかまってもらおうとじゃれつく犬のごとくいくらか距離を取り扉を盾にして着き歩く。

 分かっていたなら何かやらせてあげたら良かったのに。そんな重い命令とかじゃなくて簡単なお願いとかそれで十分だったろうに。


 そしてあの爆弾発言!ナナさんが本命じゃない?仲間内に居る?誰?

 これは大波乱ですよ!


 とりあえずはナナさんの解呪が済んでからだね。

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