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私は精霊ではありませんよ   作者: lassh-leyline
第四章   闇を払う者たち
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第八話   彷徨う心(定まらぬ道)

第八話   彷徨う心(定まらぬ道)


 ナナさんが見つかったのは翌日の朝でした。

 川の中で震えているのを近所のおばちゃんが見付け、施療院に担ぎ込まれたそうです。


 春の終わりとはいえまだ水は冷たいのです。寒さで動けなくなっていたそうです。らしくないですね。

 いつもなら耐熱の結界で冷気から身を守っているため平気のはずです。


 彼女が救助されたとき、脱いだ衣服は綺麗に洗濯され、乾かされて畳んであったそうです。

 ただ下着姿で震えながらずっと「汚れが落ちない、みんなに嫌われる。」と繰り返しつぶやいていたようです。


 迎えに行く段になって大変なことになっています。

 

 巫女様は、一晩で憔悴してしまい、いまだに毛布を被って震えています。

 以前の時はいきなり飛び出していって逆に保護されたと聞いています。今はとても出歩ける状態ではありません。

 そのため動揺を隠せないながらもユークが付きっきりで看ています。


 エミリーさんも似たような感じですが酷い熱で時折うなされています。

 ナナさんを探しに行ったあとで、倒れてマル先生に連れて帰ってもらったそうです。それから酷い熱です。

 それでもまたさがしにいこうとしたり、今も一緒に行くとベットから出ようとして、床に倒れて目を回しています。ユークこっちもお願い。


 アスカはスズネさんと新入り二人に着いていろと巫女様に厳命されたため別室にいます。

 スズネさんはアスカの預かりとなり衣服代や生活費など必要経費はナナさんと村の基金から出ることになったのであのお店の買い物は全てタダになりました。

 どのくらいの価値かは分からないのでどうでも良いことですが。


 結局私とガイル先生で迎えに行きます。かなり様子がおかしそうなのですが、私達で何とかします!






 診療所の扉を開けるとナナさんが勢いよく飛び出してきた。でもいつもと違って私の目の前で止まり何故か躊躇します。

 いつもは腰が砕けるような抱擁により快楽に流されないようにするのに苦労しますが、今日は触れるほどは近寄ってきません。

 ただ泣き出してしまいました。

「こんな穢れれた私でも迎えに来てくれたのですね。ありがとうございます。」

 嫌に卑屈な態度です。ナナさんはこんな人じゃ有りません。いつも優しくて飄々として誰にも媚びず、公正命題、常に対等の立場で接してくださいました。


 そして気付きました。体中を覆う包帯。顔にまで傷が・・・・・



 施術師のお姉さんが言いました。

「全身を酷くこすりつけていますので気をつけてあげて。きっと精神的なストレスが原因だと思うけど、レイプかそれに匹敵するショックを受けていますね。出来るだけそのことには触れないであげてね。」


 この人は何を言ってるのでしょう。あれだけのことをされ、ナナさんが耐えきったのに普通のレイプごときで壊れるとでも思っているのかしら?


 きっと別の何か(・・)でしょうけど、誰も知りません。あ、エミリーさん、何か知っているかも。良くなったら聞いてみましょう。


 とりあえずは寮まで連れて帰ることにしました。体の方は傷が残っていますが私達で何とかします。

 

 寮に帰るとすぐにガイルさんが急用が出来たと出て行かれました。


 寮では皆さん安堵の表情を浮かべていました。巫女様はまだ近寄っては来ませんがベットから声を掛けていらっしゃいました。

 あれほど仲の良かった二人が妙によそよそしいです。ユークも距離を置いていますし。

 エミリーさんは落ち着いたのか静かに寝息を立てています。

 

 アスカにも知らせてこようと部屋を出たところで入り口の所にいつものナナさん扉(・・・・・)が置いてありました。

 いつから置いてあったんだろう?

 とりあえず拾い上げナナさんに渡そうとした。


「ナナさん、これ「だめ!!」「逃げて!!」え?」


 あれ?わたしなんでろうかのかべにつきささってるの?

 視界の端にいつものように扉を抱えたナナさんが・・・首が動きません。あ、ナナさんが扉を落としました。自分の手を見て震えています。


 ベットから這い出そうとしている巫女様とナナさんを避けて駆け寄るユーク。


 あれ、だんだん痛みがわき起こってきました。

「だめ、回復が間に合わないしっかりしてエフェ!巫女様えふぇが、しんじゃうよー」

「落ち着いてみんな、エフェは死んだりしませんよ、もう死なない体なんですから。ナナ、誰も触らないから落ち着いて。誰も取ったりなんてしないから。」

 回復魔法が掛けられる度に痛みが酷くなります。麻痺しているのが治るから痛くなるのね。


 呆然としていたナナさんが初めてこちらを見て息をのみました。

「ひどい、何があったの?!」

 はは、結局私はこういう扱いですか?だいたい事態は把握できました。扉を盗られると思ったナナさんが本気で突き飛ばしたんでしょう。

 ただ突き飛ばしただけで人が殺せるってどれだけすごい体しているんでしょう。

 でも今までそんな暴力を振るったなんてことは・・・あ、今までは大丈夫な相手にしか手を出してなかっただけだ。

 もしかしてナナさんがおかしくなった原因て・・・


「まだ息はあるのね。すぐ治してあげるからちょっと待ってて。」

 え?「どうやって?」「まさか?」

 いくら何でもここまで酷いと巫女様の奇跡クラスの術でないとムリでは?

 なにやら精神を集中させているナナさん。ただ最初の魔法が感情封印だったのは、やはり心に傷が出来てしまってるのを自覚できてるからか。


(異常部分特定、印)(神経切断、)(変形部分修正)__(、欠損部分合成)(、各部位接続、)(有害物質浄化)-(異常部分無し)(神経接続)

「ああー!が、うぎぃーいたい、いたい!!」

 一瞬何も感じなくなったと思ったら全身が燃えるように痛い!

 あまりの痛みに飛び起きて悲鳴を上げる・・・

「あれまだ痛いの?おかしいわねえ。」

 ・・・・痛くない。喋ることも出来なかったはずなのに悲鳴が普通に出た。

 沈黙があたりを包み込む・・・・


「ぐす・・・う、うぐ、うえ・・うえーん!えーん・・・。」

 あ、ユークずるい先に泣かれたら私が泣けないじゃない。でも涙が零れます。

 巫女様が真っ青になってます。


「ナナ・・・私があの魔法(奇跡)を使わなくても元の姿に戻れたの?」

「あの時は無理だったけどそのうちに出来ると確信できてはいました。」

 平然と答えるナナさん。

 私たちが治癒魔法で同じことをしようとしてどれだけ研鑽を重ねてきたか・・・ガイルさんはそのために道を外したのに・・・

 全てぶち壊しです。治癒魔法とは一切関係のない魔法の掛け合わせであっさり治してしまいました・・・・


「みんなどうしたの?」よろよろと戸口まで出てきたエミリー。

「聞いてよ・・・ナナさんが治癒魔法を無意味に変えちゃったの。」

「ああ錬金術魔法の合成術のことだね。」

「・・・・まさかエミリーも使えるの?」

「ン?今練習中かな、ボクは治癒系の才能ないから代わりになることを探していたんだけど実際に使えるんだね。」


 愕然となる私達。

「でも治癒魔法じゃないと出来ないこともあるし両方使えた方が良いんじゃないかな。二人ともどっちも使えるんでしょ?」


 もしかしてこれが私のするべきこと?この治療法と治癒魔法を融合させてどんな病気や怪我も治せるように医学を進歩させるのが。


エフェは死なないだけで特別な力は付加されていません。

即死並のダメージだと聖石内で休眠状態となり触った者に寄生あるいは仮に憑依して新たな肉体を探すことになります。回復も通常は自然治癒のみとなりますが即死系の魔法以外は有効です。年も取りますが老衰までは行きません。命に関わる病気にはなりますが死亡までは悪化しません。ただし自然治癒以外するわけないので、永久に苦しむことになるでしょう。任務達成後は通常通りに自然死します。

罪人のための懲罰としての側面もあります。

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