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私は精霊ではありませんよ   作者: lassh-leyline
第四章   闇を払う者たち
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第五話   罪と罰(あがなうべきものは)   

第五話   罪と罰(あがなうべきものは)   



 ナナさんが壁を壊しています。

 わたしでもみんなの援護をもらっての全力の体当たりで割れる程度だったのにぽっかりと丸く粉砕されています。一撃で・・・


 降参した執事さんの情報で“伯爵”は外を囲んでいた監視部隊の方へ向かったと知りました。それを聞いたナナさんは飛び出していきました。

 壁をぶち抜いて・・・もうトンネル工事です。綺麗に一直線って、なんで迷いなくそっちに向かっているんでしょう?何かあるんですか?


 あ、縦方向のか・・・・べだった所に道が出来ました綺麗に平されています。

 

 とうとう外壁まで来てしまいました。

 ナナさんの歩みが止まりました。

 流石にここは乗り越えた方が・・・・


 ・・・一瞬魔力が増したかと思うと壁が消えました。壁が切り取られています。

 


 その先には・・・



「よ、遅かったな。」

 ボロボロになったマルゼーク先生。

 すでにナナさんが抱きしめていました。扉越しに。とても痛がってるようなんですがお構いなしですよ。

 そのまま抱えて端の方に持って行って半泣きであちこち怪我を調べています。もう二人の世界です。


 “伯爵”さんらしい人も唖然としています。


「どうやら彼の言っていたことは本当だったようですね。皆さんお強そうだ・・・ジェイルじゃないのか?・・・・」

 壁の影に隠れていたエフィに声を掛ける。わたしの後ろで隠れるように身を潜めた彼女は震えながら答える。


「じ、ジェイルさんはわたしにこの体を返してくださいました。もう悪いことは止めてって仰ってましたわ。」


「馬鹿な!たとえジェイルが消えてもお前ごときが帰ってこれるはずがない!完全に消し去ったはずだ!」


「ふん!人ごときが魂を砕けるわけがないでしょ。仮に留めておくことが出来ただけで全てを理解できたとでも思ったの?」

「なんだと?う・・・・金の角のユニコ、黒の妖精じゃああれが精霊なのか?」

ナナさんの方をみてる・・・

「あら、わたしは精霊ではありませんよ。」


 巫女様の機嫌が・・・火に油です。


「星霊の巫女としては、鹵獲した全ての魂の解放とあなたに対する制裁を行います。なお、ジェイルとエフィの減刑の依頼がなされすでに受諾されました。」


「どういうことだ?む、巫女と言ったか。するとお前が精霊か?減刑が受理とはどういうことだ?」

「あなたに課されるはずだった不死と強制の呪いは彼女が受けることで対価と認定されました。」


 本来なら彼の罪と罰をジェイルさんが肩代わりすることで不問となるはずが、すでに肉体を失った彼では不十分となりました。でも・・・

 



「く、くくく何を考えているのだ、あの小娘が不死の強制労働だと?それがどういうことか分かっているのか?」


「ジェイルさんから聞きました。あなたがなんのために非道に墜ちたのか、何に絶望したのか。」

 エフィが巫女様の横に移動しました。額に不死と精霊の加護を表す青白い石(聖霊石)がはまっています。記念すべき一人目の聖人。


「それに、わたしがしなければいけないことと、わたしがしたいことが一緒なのです。一生掛かっても終わらない仕事をなせるだけの時間をもらえたのです。」


 わたしは巫女様が生きている間だけの従者となっています。でもエフィは使命を終えるまで歩み続けなければならない。たとえみんなが死んでもずっと・・・・


「たかが気の触れた猟奇殺人鬼のために犠牲になどなる必要なぞないものを。」

「いえ、この命は貴方に救っていただいたのです。すでに死んだわたしに出来ることはもう他になかっただけです。だいいちもう叶わないと思ってた夢をかなえることが出来る。そのためなら大したことではありません。」



 元王立医院の医師ガイル=ハルケン。魔法による治療の限界を感じ禁呪にまでその手を染めたが師であり侍従長であったジェイルの毒殺事件により。明るみにでた違法な実験や殺人により追放処分となった。以後地下に潜り赤月に所属することとなる。

 一時期病弱だったエフェの主治医だったこともあり彼女の理想とする医師だった。当時は・・・。



 おもむろに懐やあちこちのポケットに入っていた魔石を取り出すと足下にぶちまける。

「今持っているのはこれだけだ。解き方は勝手に調べろ。残りは屋敷の中と別宅内だそこの男達が知って居ろう。」

 巫女様が魔力のこもった水を広げると、触れたとたんに光の粒となって消えていく。


 そのとき、青白く輝く包帯がガイルの右手を包み込む。手の内から光がわき上がる。


「坊よ、一人で逃げる気かのう?せめて主の持っておる技術だけでもこいつに授けてやらんか。」

 エフェ口調が変わってって、ジェイルさん?!

「ジェイルまだ居てくれたのか?」

「え?は?なに?え?わたし何か言いました?あれ?え?これって魔力の実体化じゃないですか?こうして、こう。ああなるほどこうやれば良いのか。」

「どうやら本気で何か足りてないようだ。うむボクの出来ることなら協力させてもらおう。またジェイルと話す機会があるかもしれんからな。」


 このあとマルゼークの傷の治療となりました。ナナさんが「わたしのマルちゃん取らないで」と叫んでいましたが・・・

 

 アスカさんとエミリーさんはまだ許す気はないみたいですがエフェの顔を立ててあえて敵対はしません。


 ガイルとその執事はエフェの部下として働くことになりました。将来的には塔の村(もうすぐ街の大きさになるそうです)の病院に就職する予定です。


 エフェの両親は行方不明になって以後本当に大切な者のついて話し合い自由を得るためにエフェを殺すことにしました。全てを棄ててエフェの幸せを願ったのです。

 結局家族と信用のおける人たちを連れて一足先に村に移住しました。


 ナナさんとエフェのチームは魔法と外科手術を組み合わせたとても不思議な治療法を研究しある程度の成果を上げています。

 指や手足などの単純なところなら再生できるぐらいまでなりました。


 村の拡張計画は順調だそうです。 

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