表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
泣き虫勇者は今日も泣かない 〜千年前の光を継いだ落ちこぼれ、涙の数だけ強くなる〜   作者: TAKA


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
9/61

第9話 誰もいない村

村は、滅んでいた。


立ち並んでいたはずの家々は、黒く焼け落ち、瓦礫の山と化していた。あれほど賑やかだった通りに、人影はひとつもない。聞こえるのは、燃え残った木がぱちぱちと爆ぜる音だけ。風が運んでくるのは、焦げた匂いと、死の匂いだった。


「父さん……?」


かすれた声で、ルカは父を呼んだ。返事はない。


家の前まで来たとき、ルカの足が止まった。そこに、父が倒れていた。地に伏したその手のそばには、あの剣が転がっていた。父は、最後まで戦ったのだ。村を、そして我が子を守るために、たった一人で魔物の群れに立ち向かい、そして力尽きたのだ。


「父さん! 父さん!」


ルカは父にすがりついた。何度揺すっても、その体はもう動かない。冷たくなった父を抱きしめて、ルカは声をあげて泣いた。


それから、ルカはあることに気づいた。リーナ。リーナはどうなったのだろう。弾かれたように立ち上がり、ルカは幼馴染の家へと走った。瓦礫を越え、燃え跡を抜けて、ただ無我夢中で。どうか無事でいてくれと、そればかりを願いながら。


たどり着いた家の前で、ルカは崩れ落ちた。


リーナは、そこに倒れていた。その手には、小さな青い石が握りしめられていた。ルカが幼いころに贈った、あのネックレス。最期の瞬間まで、リーナはそれを離さなかった。


ルカは、何も言えなかった。ただ膝をつき、動かなくなった幼馴染のそばで、いつまでも、いつまでも泣き続けた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ