第63話 新たなる剣
夜空を鍛えたような、深い青みを帯びた刀身。ルカが柄を握り、静かに光を通すと——剣は、悲鳴を上げなかった。光は刀身の芯を、川のように滑らかに流れ、刃全体が、暁のような金色に輝いた。喰い合うのではない。星鉄と光が、手を取り合っていた。
「……ありがとう、ございます」
深く頭を下げるルカに、バーサはふん、と笑って、それからミラへ、小さな包みを放った。中には、炉の火で鍛えた、赤銅の腕輪。
「あんたの火の、卒業証書だよ。……いつか帰ってきな。あんたにゃ、鍛冶の才がある」
ミラは、腕輪を握りしめ、何度も、頷いた。
出立の朝、行路の写しが指す次の地を、カイが読み上げた。北の頂、風の祠。ガルドスの言った場所と、同じだった。そして、その先の頁は——焼け落ちたように、失われていた。
五人は、雪の坂道を、登りはじめた。新たな剣を背に、千年の約束を胸に。
——同じ刻、遥か西の空が、赤く染まった。白い仮面の司祭ゼクスが、また一つ、行路の祠を焼き落とした光だった。仮面の男は、燃える社の前で、恍惚と天を仰いだ。
「偽りの神の火は、消える……残る火は、あと二つ……北の頂と——“終わりの地”のみ……」
風が、不穏な報せを乗せて、北の雪嶺へと吹き上げていった。




