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第53話 開戦前夜
出立前の夜、桟橋に、ルカとミラは並んで座っていた。
「……ねえ。仇は、討ったのよ。なのに私、まだここにいる」ミラは、湖を見たまま言った。「何のために戦えばいいのか、まだ、わかんないままなんだ」
「見つかるまで、一緒に探しましょう」ルカは、静かに答えた。「……僕も、まだ、探してる途中だから」
ミラは、ふ、と息だけで笑った。「……ほんと、変なやつ」
その少し離れた場所で、ドランは剣を研ぎながら、カイに言った。
「明日は、人を斬らずに済むと思うな。——だが、殺すな。眠らせろ。今日からそれが、お前の槍の使い方だ」
カイは、家伝の型を思い返しながら、深く、頷いた。




