49/61
第49話 湖守の末裔
「……金色の、光」少年の声が、震えていた。「祖母様の、膝の上で聞いた。……“光の末が、再び湖に立つ時、湖守は槍を捧げ、道を拓け”。ヴェイル家の、千年の口伝だ。御伽噺だと、思ってた……」
警戒を解いたカイは、宿坊の隅で、調べ上げたことを語った。神槍は、事件の三日前に盗まれていた——父はすぐ届け出たが、その記録は握り潰された。父を現場で「見た」と証言した商人は、直後に姿を消した。そして市議会は、アルドス宮廷からの圧力に屈して、父を引き渡した。
「圧力の出どころは、いつも同じ名前だ」カイは、吐き捨てるように言った。「アルドス王の側近——ヴェーラ夫人。……あの女の名前が出るたび、話が、歪むんだ」




