表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
泣き虫勇者は今日も泣かない 〜千年前の光を継いだ落ちこぼれ、涙の数だけ強くなる〜   作者: TAKA


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
28/61

第28話 変わった瞳

谷の入り口で、ドランは焚き火を熾して待っていた。近づいてくる足音に顔を上げ、そして、わずかに目を見張った。


「……戻ったか」


歩いてくるのは、確かにルカだった。けれど、どこかが違う。祠に入る前の、あの怯えたような気配が、消えている。歩き方も、剣の背負い方も、何ひとつ変わってはいないのに——瞳の奥に灯る光だけが、別人のようだった。


「ただいま、ドランさん」


ルカは焚き火のそばに腰を下ろすと、祠の中で起きたことを、ぽつり、ぽつりと語りはじめた。神の声のこと。心の試練のこと。繰り返される絶望のこと。そして、その果てに、力を受け継いだこと。


ドランは、口を挟まずに聞いていた。語り終えたルカが、最後にこう付け加えた。


「でも、この力じゃ、まだ魔王には勝てないんだそうです。力を育てて、仲間を集めろって。……祖先が千年前に歩いた道を、僕も、歩かないといけない」


「その道とやらは、どこにある」


「わかりません。だから、調べないと」


ドランは、しばらく火を見つめていた。やがて、思い当たったように顔を上げた。


「……聖都サンクレアだ。ここから南東に、大きな神殿都市がある。勇者を神の使いとして祀ってきた、千年続く聖堂だ。勇者の伝承なら、大陸中のどこよりも、あそこに残っているはずだ」


「サンクレア……」


「遠いぞ。歩けば、ひと月はかかる。道中は、魔物だらけだ」ドランは、にやりと笑った。「まあ、祠までと言った約束は果たしたが——ここで放り出すのも、寝覚めが悪い。付き合ってやるよ、勇者様」


ルカは、思わず笑った。祠を出てから、初めての笑顔だった。


その夜、ルカは焚き火のそばで、星空を見上げた。父さん、リーナ。僕は、行くよ。もう、泣いてるだけじゃない。見ていてほしい。夜空に瞬く星は、あの日、村で見上げたものと、同じ光をしていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ