表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
泣き虫勇者は今日も泣かない 〜千年前の光を継いだ落ちこぼれ、涙の数だけ強くなる〜   作者: TAKA


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
2/61

第2話 地下に眠る者

時を、勇者が魔王を討つ少し前まで戻そう。


魔王城の最奥、誰も知らぬ地下深くで、魔王は静かに魔方陣を描いていた。床一面に刻まれた紋様は、彼の持てる魔力のすべてを注ぎ込んだものだった。


魔王にはわかっていた。地上に現れたあの青年——神の力を宿した勇者を、自分はおそらく倒せない。長い年月を生きてきたからこそ、彼は己の敗北を冷ややかに見据えていた。


魔方陣の中央には、一人の幼い子が眠るように横たえられていた。魔王の息子である。


「いずれ私は、あの勇者に討たれるだろう」


魔王は眠る我が子に語りかけた。その声に嘆きはなく、ただ揺るぎない意志だけがあった。


「だが、それで終わりではない。お前が私に代わって人間どもを滅ぼし、この大陸のすべてを手にするのだ」


魔王は最後の魔法を編んだ。魔方陣の中で、息子の力が少しずつ増幅し続けるように。そしてその力がやがて限界を超えたとき、封印がひとりでに解け放たれるように。先代である父をも越える力を備えて、息子が目覚めるように。


すべての術を刻み終えると、魔王は地上へと歩き出した。勇者と相まみえ、討たれるために。


地の底では、幼い子が静かに眠り続けていた。誰にも知られぬまま、その身の内に少しずつ、少しずつ力を蓄えながら——気の遠くなるような、千年の時を。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ