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第11話 北への道
歩くたびに、背に負った父の剣が重く食い込んだ。慣れない山道に足は何度ももつれ、靴は土と泥にまみれていく。日が高いうちは、まだよかった。けれど陽が傾きはじめると、森の奥から得体の知れない物音が聞こえてくるようで、ルカは何度も足を止めては、びくびくとあたりを見回した。
半日ほど歩いたころ、ルカは道の先に、見覚えのある光景を見つけて立ちすくんだ。焼け落ちた家々。崩れた壁。黒く焦げた柱。それは、つい昨日まで自分が暮らしていた村と、同じ姿をしていた。ここにもかつて、人が住んでいたのだ。そして、魔物に襲われ、滅ぼされたのだ。
ルカは悟った。奪われたのは、自分の村だけではない。魔王の力は、この大陸のいたるところに、同じ悲しみを撒き散らしているのだ。胸の奥が、ぎゅっと締めつけられた。
やがて陽が落ち、あたりは闇に包まれた。空腹で、足はもう棒のようだった。ルカは大きな木の根元に身を寄せ、膝を抱えて夜を明かした。星明かりの下、こみあげてくる心細さに、また涙がにじむ。それでも、ルカは北を目指すことをやめなかった。父が、リーナが、託してくれた命だから。ここで止まるわけには、いかなかった。




