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銃の知識ゼロの世界で弾丸補充スキルを授かった冒険者、案の定Bランクパーティにクビにされる~銃を手に入れてから狙撃無双で英雄と呼ばれる件~  作者: ma-no
六章 女神軍

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167/168

167 判決


 シモンがスナイパーライフルで魔獣を減らしていても、世界の希望を失ったことは変わらない。本部からの出頭命令が来たら、そっとスナイパーライフルを下ろした。


「プック……ユーチェ……今までありがとうな」

「なに言うてまんねん。あーしこそや。面白い物、いっぱい作らせてくれてありがとう」

「ウチも世界中を旅させてくれてありがとう。楽しかったどす~」


 プーシーユー、これで最後の活動だからと、感謝の抱擁。3人とも涙ながらに感謝を述べ合う。


「ほれ、さっさと片付けろ。お主たちがやらんと、動くに動けないじゃろ」

「「「もうちょっと待ってや~~~」」」

「無理じゃ。魔獣に場所もバレておるじゃろうから急げ」


 でも、空気の読めないヤコビーネが命令するからダラダラお片付け。片付けの間も馬車移動の間も思い出話が尽きないプーシーユーであった。


「なあ? あの人たち、勇者様より勇者じゃなかった??」

「うん……勇者様を殺した時は驚いたけど、勇者様、いらなくね?」

「「「うんうん」」」


 後続の馬車に乗る見習い騎士は、プーシーユーの活躍が凄まじ過ぎて、殺害の件は霞むのであったとさ。



 女神軍が駐留している場所は、町跡から離れた多くのテントが並ぶ場所。そこにプーシーユーが現れると、女神兵は見ない顔にヒソヒソ何かを喋る。

 兵士の案内でテントで作られた道を歩いていたら、途中から「プーシーユーだって」という声が混ざり出した。


 そうして本部に使っている大きなテントに着くと、シモンが堂々と入って行った。


「申し訳ありませ~ん! 勇者パーティをヤッたのは俺です! 本当に申し訳ありませ~~~ん!!」


 でも、次の瞬間には綺麗なジャンピング土下座。あまりにも所作が美し過ぎて、本部の中の時間が止まった。


「シモンはんだけのせいちゃいます! あーしが武器を与えたせいなんや! 裁くならあーしも同罪や!」

「ウチも! ウチも~……パーティメンバーどす! たぶん同罪どす! 申し訳ありませ~ん!!」


 真っ先に体が動いたのはプックとユーチェ。2人とも土下座をしているけど、ユーチェは理由が弱いね。


「いえ! これは総大将の僕の見立てが甘かったせいです! 罰を受けるなら僕だけです!!」

「それを言ったら、勇者パーティの攻撃に気付かなかったあたしにも非があるわ!」

「私も前に集中し過ぎてました!」

「私も……」

「私も……」


 続いて土下座をしたのは、ボロボロの蒼き群雄。全員が反省の言葉を述べる。


「みんな……」


 その懐かしい声が耳に入ったシモンは顔を上げると、近くで土下座する蒼き群雄が目に入った。


「シモンさん……」

「アールト、カティンカ、セシル、ダフネ……ひ、久し振り……」

「「シモンさ~ん!」」

「「シモーン!!」」


 その後は蒼き群雄も顔を上げ、膝立ちで歩いたらシモンに抱きつく。シモンも涙ながらに受け止めて再会を喜ぶのであっ……


「ん! んん!! 君たち、いまがどんな場面かわかっているか??」

「「「「「……はい。申し訳ありませんでした」」」」」


 でも、偉そうなオジサンに怒られて、綺麗な土下座をした旧蒼き群雄であったとさ。



 偉そうなオジサンの正体は、竜人騎士団の騎士団長。女神軍のナンバー2だ。

 騎士団長からテーブル席に着くように言われて、蒼き群雄とプーシーユーは隣り合わせに座る。シモンと蒼き群雄は付き合い始めた学生カップルみたいにチラチラ視線を送ってた。


「さて……蒼き群雄からは、勇者パーティから攻撃を受けたと聞いている。その情報をいち早く報告したのは、国王直属秘密部隊……プーシーユーだ。ここまでは合っているな?」

「あ、はい」


 プーシーユーを呼び出したのは、尋問するため。シモンは覚悟を決めた顔で受け答えをする。


「正直、あの距離から勇者パーティを一瞬で殺せる者がいるとは信じられない。どうやったのだ?」

「俺の腕がいいとしか言いようがありません。最長、3キロ先の的でも射抜けますんで」

「ふ、ふむ……それを信じるとして、どうして殺した? 勇者パーティは世界の希望だと誰でも知っていることだぞ??」

「蒼き群雄が殺される一歩手前だったからです。五層で別れてから3年掛かってやっと追い付いたんです。そいつらが殺されるのを指をくわえて見てられますか? 俺は仲間のためなら、何度でも同じことをします」


 騎士団長からややキツイ圧を当てられたが、シモンはそれよりも強い意志で跳ね返した。蒼き群雄は感動してウルウルしてるね。


「クッ、クククク」


 その時、ヤコビーネが笑いながらテントの中心に向かった。


「茶番はもうよかろう。世界の希望を殺したこの者をお主はどうしたいんじゃ?」

「それは、それなりの処罰を……誰だ??」

「ならば(わらわ)が沙汰を言い渡そう。勇者パーティは世界の希望。その者を殺したんじゃから、シモンは極刑じゃ。じゃが、蒼き群雄もまた女神軍に必要な者たちなのは事実。その者を守ったのじゃから、減刑は(しか)るべきじゃ」

「言っていることはわかるが……誰なんだ?」

「うるさい。黙れ。まだ途中じゃ。殺すぞ」


 ヤコビーネに殺気を放たれた騎士団長は嫌な予感がしてすぐに黙った。


「勇者パーティを一瞬で死に追いやったシモンの腕前、殺すには惜しい。いや、勇者パーティなんかより、優れた冒険者なのが証明されただけじゃ。蒼き群雄は残り、最強の冒険者が生まれた。よって、無罪放免じゃ。この判決に異議を唱える者は前に出ろ! ヴァンパイアが元女王、ヤコビーネ・デ・ゾンネンベルフが息の根を止めてやる!!」

「「「「「えぇ~~~……」」」」」


 ヤコビーネの勝手極まりない判決。無罪放免と味方されたシモンでも、感動できずになんとも言えない声が出てしまうのであったとさ。


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